一輪目 ページ1
おれはアイドルだった。東京の端に在るちっちゃな事務所の男性アイドルグループで
アイドルをやっていた。
同事務所に別の女性アイドルグループも所属していた。恋愛禁止なのにこっそりやってたっけ。
それなりに人気もあってそれなりに有名になった。
そんな過去の栄光は何処へ行ったのやら、今は適当なオフィスでコーヒーをすすりながらデスクワークで平日を埋めている。春なんて来るわけないし。
そういえば最近喉に異物を感じるようになったのだ。風邪かと思って薬を飲んでいるが痛みはちっともなく、ただただ気持ち悪い違和感が残る。一番嫌いなやつ。原因が分からないのが腹立つのだ。
___________翌日
起きた。胃がムカムカして絶妙に気持ちが悪い!!!
急いでトイレに駆け込むおれ。病院めんどくさいなど今まで避けていたことが仇となったのかと考えて便器に項垂れる。
嗚咽を繰り返す
気持ち悪さで焦点が合わずぐるぐるする...
おえっ
べちゃっという生理的嫌悪を伴う音と共に口から出たものは
一輪の福寿草。
黄色い小さな花が綺麗にそこにはあった。
それと同時に喉から違和感も消え、すっきりと。
寝てる間に寝ぼけて花を食べてしまったのではと心配になるも部屋には観葉植物すら置いていない。
スマホで「花 吐く」とやふってみた。
すぐに「花吐き病」という奇病の名がヒットしたのだが、なんでもそれは創作上の病気。
現実的には有り得ない。
それに発症条件が「片思いを拗らせる」...華の無いおれには全く関係が無い。
しかも感染するし...周りに迷惑をかけるわけにはいかないのでマスクを装備。
意味不明の奇病に罹ってしまった
福寿草 花言葉は「幸せを招く」「悲しき思い出」
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:紅 | 作成日時:2017年5月25日 18時