ウサギなご主人

行き先は ページ36

「……で、どこ行く？」

「私は別にどこでもいいけど」

「大体どこでも行けるよ、済州島とか…あ、日本のネズミーランドとか！」

「ちょ、待って待って待って待ってください」








高校生とは思えない発言に慌てて話を止めると、きょとんとするグク。







「なに」

「…初デートそんなにスケールでかいの？」

「え、こういうもんじゃないの？」








…あぁ、この人ボンボンだったわ忘れてた。

そりゃ普通の高校生の発想が出てくるわけないよね。

まず日本とか国外だし。








「普通の高校生がするデートってそんなにスケールでかくないよ」

「え、そうなの。例えば？」

「た、例えば…まぁ、遊園地、とか水族館とか……じゃない？」








自分が高校生だったときなんて2年前とかだし、デートなんてする相手もほぼいなかったから、全くもってそういう場所なんて疎い私。

なんとなくそんなイメージがある所を挙げてみた。








「…俺水族館行ったことない」








急にキラキラになった目や表情からワクワクしているのが手に取るようにわかる。








「行きたい？」

「行きたい」







こくりと首を縦に振るグクが可愛くて少し吹き出しそうになるのを抑える。

……いやいや私こんなキャラじゃない。








「じゃあ、いこうか」

「やった」







ということで、私達のとっても遅い初デートの行き先は水族館に決まった。








「ふー、じゃあ行き先も決まったことだし寝るか」

「…ちょっと、なんで私までベッドに引きずり込まれてるの離して」

「やだ。…うわ、なんかテンション上がってきた」

「ちょ、」

「いい？」








無駄な色気を振りまいて覆いかぶさってくるグク。


だんだん近くなる距離……


は、途中でピタリと止まる。








「……ふふ、どうせ手出せないんでしょ」

「…うるさい」





口ではいろいろ言うくせに、意外とピュアである。








「なに笑ってんの」

「別に…ふっ、笑ってな、いです」

「おい」

作者より: 追記あり→←遠慮なし

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