ウサギなご主人

へんしゅつきもつ ページ28

「ほんとにグキはへんしゅつきもつだねー」

「…それを言うなら神出鬼没ですね」

「あ、そっか」

「分からない言葉を使わないでください…」

「合ってると思ってたんだけどなー」

「というか手……」

「んーん、それは離さないよ」









どうやったらそんな間違いになるのかわからない間違いを正してやると、テヒョン様はまたひひっと笑う。

その流れで手を離すよう促してみるけどそれはダメだった。









「とりあえずAから離れてもらえますかヒョン」








そのくだりを本当に面白くなさそうに見て眉根を寄せる坊ちゃまは、つかつかと機嫌の悪そうなまま、こちらに向かって歩みを進める。

テヒョン様はというと、私の手を握ったま離さない。…それどころか握る力が強まっている気もする。







「やーだ」

「やだじゃないですよ。言っとくけどこれは、」

「っへ……！」








ぐんっといきなり腰に回された手に後ろから引っ張られ、バランスを崩す私はそのまま坊ちゃまにバックハグ状態で受け止められる。









「これは、俺のです」

「お、俺のって」









どういうことですか、と続けようとしたけれど、きゅっと強まる腕の力が黙ってろと言っているように思えて、黙るしかなかった。

気付いた→←テヒョン様

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