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spring moon #03
翌朝、目が覚めて身支度を済ませ次第何時もの
時間より少し早めに家を出た。
昨晩で降り積もった雪は過去最高と言っても過
言ではない程の積雪量を誇っている。
目の前に広がる白銀の世界、そして身体を蝕む
寒さに自然と目眩を催しながらゆっくりと雪の
中へ足を埋めた。
雪を踏み締める度に鳴る不思議な音と感覚が、
今はやけにくすぐったい様にすら思えた。
早くカフェに行ってラテを飲んで温まろうなん
て思うけれど、寒さで強張った足はなかなか上
手く動いてはくれないのだ。
吐息混じりに、こうしていても仕方がないと羽
織っていたコートの前を手繰り寄せて歩みを進
めた。
家からそれ程遠くはないカフェは、余りに大き
な店舗ではない上に人も溜まらない。
その為、朝食を食べたり暇潰しに行く事もあれ
ば大学の課題を済ませる為に集中したくて利用
する事もあった。
余り人は来ないがメニューも豊富で、私にとっ
てはある意味家にいる時よりもカフェにいる時
の方が多いのではないかと思う程なのだ。
歩みを進めているうちに段々と距離を縮めるカ
フェに自然と達成感を見出していた。
重たいガラス扉を引いて中に入れば温かい空気
が私の身体を包み込む。
カウンターに背を向けてオーダーを作っている
店員さんの優しい " いらっしゃいませ " の声と
店内に流れる名前も知らない洋楽が、何処かマ
ッチしているようで心地良い。
普段座っている窓際の席が空いている事を確認
してから、そのまま鞄も下ろさずにカウンター
前へと歩みを進めた。
雪を踏んで来てしまったからだろうか、歩く度
に音の鳴るスニーカーが堪らなく恥ずかしい。
「いらっしゃいませ」
頭上で声を掛けられた事を耳に入れながら、手
元に広げられたメニューに目を向けて何を頼も
うかと頭を悩ませる。
「ラテと...フルーツサンドを下さい」
「今日はアメリカーノじゃないんですか?」
そう言われてメニューから目を離せば、カウン
ターのレジ前に立っていたのは、昨日ラテをく
れた彼だった。
ちらりと見えた名札には" カンダニエル "と律儀
にフルネームで名前が書かれている。
「昨日の...ダニエルさん、ですか?」
「何で俺の名前...自己紹介しましたか?」
「名札です」
慌てた様に身振り手振りで訴えてくる彼に苦笑
を洩らしながら、私は胸を指差した。
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choi(プロフ) - maryさん» ジソンオンマタイミング!笑 母性本能全開のジソンさんにはオンマ的ドジも頑張ってもらわないと、と思いましてヽ(´o`;にしても我ながら今のタイミングはちょっと!ですヽ(;▽;)ノ (2018年9月12日 19時) (レス) id: 3ac3189961 (このIDを非表示/違反報告)
mary(プロフ) - あああああ!!ジソンオンマー( TДT)今は声かけちゃダメー( TДT)笑 (2018年9月12日 12時) (レス) id: d75f5942a5 (このIDを非表示/違反報告)
mary(プロフ) - ぜひ!!ぜひその番外編読みたいです!!( *´艸) (2018年9月12日 12時) (レス) id: d75f5942a5 (このIDを非表示/違反報告)
choi(プロフ) - maryさん» ジェファンとの絡みに反応下さるのmaryさんだけなので、密かに凄く嬉しいです!笑 番外編でダニエルくんとジェファンのお話を書こうかな...なんて思っちゃいますヽ(´o`; (2018年9月12日 11時) (レス) id: 3ac3189961 (このIDを非表示/違反報告)
mary(プロフ) - ジェファンとの絡み待ってましたー!!やっぱりダニエルくんとジェファンくんの絡み大好きです(*´∇`)もうウジンに何されたんだ!!笑 (2018年9月11日 23時) (レス) id: d75f5942a5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:CHOI | 作成日時:2018年7月9日 16時