友人と友人の彼氏 ページ10
.
「……どうも」
「どーも」
初めて見たときから、正直わたしはコイツが気に食わなかった
.
.
「何してんの」
「…ん、紙飛行機作ってる」
わたしの友人、Aは基本無表情で
それでもとても良い子で、中には少しおかしなところもあって
かれこれ数年、友達をやっている
彼女が笑わなくなった理由も
家族を失ったことも
ボーダーに入ってから少し明るくなったことも
全部、多分この男より知ってる
だから
だから、この男が気に食わない
「えー、と
Aの友達の…な、ナ…」
「ナセ。
てか、そんなことどーでもいいから。
あの子、隣のクラスの男子に呼び出された
それも、評判良くないやつ」
名前を上げると、コイツは顔をしかめた
「今、どこにいんの」
「向こうの階段」
「……ありがと」
荷物を取りに行こうと教室に戻ろうとする彼をわたしは呼び止める
「ねぇ」
「ん」
「………わたし、あんたよりあの子のこと知ってるつもりなんだよね」
それなのに
気づけばわたしじゃないコイツがあの子を助けていて
わたしは何もできなかったのに、と
悔しくて泣いたことを思い出す
だからこそ、信じてみようって決めた
あの子が信じたこいつを
あの子を助けたこいつを
少しは、信じてみようって
「あの子泣かせたら、お前のことぶん殴るから」
それじゃあ。とわたしは背を向ける
すると、後ろからガシャ、と何かが落ちる音がする
「……ぜってぇ泣かせねぇよ」
頬が緩んだ
なんだ、思ってたよりも悪いやつじゃないじゃん
なんて、口にアメを放り込んだ
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 399人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
おむ(プロフ) - 二宮さん» 読んでくださりありがとうございます^_^ そう言っていただけてとても嬉しいです！書いてよかったなあと、心から思います！本当にありがとうございました！ (2019年12月25日 23時) (
レス) id: 40b62768f7 (このIDを非表示/違反報告)
二宮 - 完結お疲れ様です！ゆっくり見ました。とても面白かったです！ とてもいい作品でした！ (2019年11月25日 20時) (レス) id: 5c8a1b7b56 (このIDを非表示/違反報告)
藤見日和(プロフ) - 良すぎて爆死 (2016年7月17日 14時) (レス) id: 3600278a3d (このIDを非表示/違反報告)
柚 - とても良い作品に巡り会えて、感動しているのと、出水がイケメンの二つです☆*:.｡. o(≧▽≦)o .｡.:*☆ (2016年2月5日 5時) (レス) id: 98181381be (このIDを非表示/違反報告)
柚 - ヒャァァ/// (2016年2月3日 20時) (レス) id: 98181381be (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：おむらーす
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/personal.php?t=mucho
作成日時：2015年11月27日 19時
