3.毒リンゴと王子様と【出水公平】

三輪とやまない雨と ページ24

.






「三輪、何してるの」





雨が酷い




空気も冷たくて、じめじめしてる






そんな中、三輪は廊下に一人で立っていた






壁のない、一回の廊下



雨は床に入り込んでいる
風のせいか、三輪にも当たっているようだった







「………酷い雨だ」




「…酷い、ね

もしかして、やまないと思ってる?」






「……………」








「たとえ……今日はやまなくても





明日は、やむかもしれない」






いつの日からか、彼の目の下に隈ができていた



髪もボサボサ



別に、彼に関わろうとは思っていない

首を突っ込むつもりもない


けれど




放ってはおけない







「いこう、もうそろそろ授業が始まる」






「もうそんな時間か」






「昼は食べたの?」






「………食欲がない」






「身体に悪いなぁ、それは……


ほらこれ、購買のだけど、食べて」





「…いらない」





「食べて」







パンを包む袋を破き、三輪の口に突っ込んだ



苦しそうにするも、入れてしまえばこちらのもの





「よし、行こう」



「お前な………」



「美味しいでしょ、そのパン

私のオススメ」




「…………ハァ」







ダメだこいつ、とでも言いたそうな顔をする三輪




お前も同じくらいダメになってきてるよ、と心の中で呟く






でも





私みたいに取り返しのつかないダメなやつにはさせない






あの人が護った三輪を







あの日、私も護ろうって思ったから








出水を撃った、あの日に









「ねえ三輪」



「なんだ」



「私ね、晴れ女なんだよ」



「だから、なんだ」



「だから

どんなに酷い雨が降っても、私が晴らしてあげる」




「……………お前、迅に似てきたな」





「………………………うそ」





「うそじゃない」





「……………なんだかんだ言って、三輪って結構迅さんのこと………」






「ふざけるな」






「ハイハイ」






.

雨が降りだす頃→←彼女の朝と友人の格闘

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す