3.毒リンゴと王子様と【出水公平】

雨が降りだす頃 ページ25

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「…………ん?なんだこれ」






ペラ、と出水の足下に、1枚の紙ひこうきが落ちてきた




それを拾い上げる

何やら、紙に書いてあるようだった





黒くはっきりと書かれた文字は、裏側にまで染みている

それに、かなり濃い筆圧だ






「なになに…………………はっ…?」





紙には大きく、お世辞にも綺麗とは言えない文字で




‘‘サッカーやろうぜ！”

と、どこかで聞いたことのある言葉が書かれていて
出水は周りにも聞こえるようなため息をつく






この独特な筆跡も


出水がつい先ほど採点したであろう小テストも


その小テストの悲惨な結果も








全部、出水は知っている









「普通に誘えよ槍バカ!!!!!!」









雨が降る直前の曇り空と

いつもより暗く見える土を背景に






ソイツはへらへらと笑っていた







「こんｯ、の…………」






もう一度折りたたんだ紙ひこうきは少しだけ不恰好で



その僅かな苛立ちもぶつけるように、大きく右の肩を反る







少しだけ不恰好なそれは、綺麗に弧を描くことなく、ヨレヨレと




それでも、しっかりと米屋の元へと降りていく









「ノーコン!」




「うっせぇ13点!!」







空の曇り空とは程遠く輝く笑顔を






赤城は愛おしそうに、羨むように眺めていた








「ん?あれは………」






1人廊下を歩く三輪の後ろ姿を、赤城は一階の窓から覗く






その瞬間、さっきよりも雨の匂いが濃くなったように感じた








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「そろそろ降るな……雨」





三輪もまた、その匂いを感じ取り
足を止めたのだった






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