毒リンゴと王子様と【出水公平】

14口目 ページ15

昼





米屋との賭けに負けて、俺はダッシュでジュースを買いに行くことになった




自販機があるのは1階で、
俺たちの教室は3階。





階段を全力で降りて、
頼まれていたジュースを手に握りしめ、俺は角を曲がり、下りて来た時と同じように全力で駆け上がろうとした。





それで、角を曲がった瞬間、ドンッ、と鈍い音とキュッと、何かが捻った音がした





最初はそんなこと気にしてられなくて、
しまった、と慌てて冷や汗かいて






すみません！と謝ろうと目の前を見た。

それと同時に聞こえる声。





その声は俺の名前を呼んだ。

つい昨日、ランク戦でボロ負けした相手


赤城の声だった。









俺はすぐさまその場を離れたかった。
それが伝わったのか、そいつは俺に何の躊躇いも無く謝り

俺をその場から離そうとした。




その行動が、俺を無性に腹立たせ



俺は気づいたら資料を集めるのを手伝っていた









その時、ふと見えた足首。


俺はしゃがみ込む形で拾っているのに対し、
そいつは転んだ時と同じ体制で拾っていた。





特に、その足を庇うように。









捻ったのか?いや、気のせいか。








それだけ考えて、俺はまた階段を上り出した。









手に握りしめられていたジュースは

ほんの少しぬるくなっていた。

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