80話 お誘い ページ32
『糸師、冴…』
「あ？糸師？」
『新世代
小声で彼に説明すれば尚更顔を顰めた。多分凛くんのお兄さんというところに引っかかったんだろうけど…
『あの帝襟さん、どうして彼がここに…？』
「…実は糸師選手がUｰ20代表に士道くんを加えることを条件に出してきたんです。それが無理なら彼はこの試合を辞退すると…」
あー…なるほど…帝襟さんの言う上の人間は糸師選手が試合に出る事を強く望んでいるはずだ。なぜならその分“儲かる”から。しかし誘いを受けた士道くんは不満げだ。
「お前がどんなヤツとか知らねーけどあのムカつく下まつ毛の兄貴なんだろ。無理、パース」
「…」
チッと静かに舌打ちが木霊する。…でも正直な話、このまま彼が青い監獄の代表として出ても凛くんとうまくプレーができるのだろうか。あまりいい方向に動くとは思えない。
糸師選手は長いため息をつき、面倒くさそうに頭をかいた。
「めんどくせぇ悪魔だな…等価交換だ。こっちの条件飲むんだったらてめぇの条件も飲んでやる」
「…」
条件を飲むと言われ、考え込む。何かを探すように、あるいは思考を整理しているのか目線を空中へと向ける。
目線が右上、左上へと揺れる。そしてぐるっと一周する前に彼の目がこちらを捉えた。
『…？(私？)』
「…」
ニヤァと士道くんの顔が歪む。歪むと言っても楽しそうな笑みだ。
あれ…何だろう、とてつもなく嫌な予感が…
「日本代表側につくっつーことはここから出て合宿所とかに行くってことだよな？」
「当たり前だろ、バカが」
『(凛くんが口悪いのはお兄さんの影響か…何か納得…って流石にしつれ、)』
「じゃあその合宿所にAちゃん連れてくことが条件で♪」
『は？』
思わず二度見。…いや何で？
A、と聞いて糸師選手がこちらに首を傾けた。
「…何でここに女がいる？」
『(もしかして私の存在に今気づいたのかな…)
えと…荊尾Aです…スポーツドクターとしてここに一応雇われてます…まだ見習いですけど』
「スポーツドクター？」
器用に片方の眉を上げる。そして私の事を頭のてっぺんから足の先まで見て鼻を鳴らした。
「経費不足か？」
『…』
やっぱり凛くんのお兄さんだ…
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苺子(プロフ) - kaedeさん» コメントありがとうございます！隙あらば夢主ちゃんに構ってアピールする士道くんです（） (2023年1月20日 19時) (
レス) id: b537714951 (このIDを非表示/違反報告)
kaede(プロフ) - あは。もうありがとうございます。士道くん最高すぎて逝きそう (2023年1月19日 21時) (レス) @page42 id: 426304659c (このIDを非表示/違反報告)
苺子(プロフ) - 猫さん» コメントありがとうございます！面白いと言ってもらえて嬉しいです…！更新頑張ります (2023年1月19日 21時) (レス) id: b537714951 (このIDを非表示/違反報告)
苺子(プロフ) - 朝花さん» ご心配ありがとうございます。これからもこの小説を読んでくださると嬉しいです。よろしくお願いします (2023年1月19日 21時) (レス) id: b537714951 (このIDを非表示/違反報告)
奥山乃愛(プロフ) - 朝花さん» 分かりました！なんかすみません🙇 (2023年1月19日 6時) (レス) id: fdc1778b4b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：苺子 | 作成日時：2022年12月25日 20時
