64話 繋ぐ ページ16
沈黙が続く。私に何ができるかと考えるけど、今は話を聞くだけでいいのかもしれない。ドクターとしてというか、1人の友人として聞いた方がいい気がする。
『(いやまぁ、私が勝手に友達って思ってるだけなんだけど…)』
「……なぁA」
『ん？』
「手、繋いでいいか」
掠れた声。そして何かに縋る様にこちらを見られた。
『…えっ、と…』
「お願いだ、早く」
急かされ、慌てて冷たい床に手を置こうとする。するとそれより早く彼が私の手を掴んだ。
『え…』
「手、汚れるだろ」
『う、うん。ありがとう…』
彼は床には手を置かず、自分の胡座をかいた膝に繋いだ手を置く。不意に近くなる距離にドキッとしてしまう。何でこんなタイミングでドキドキしちゃうかなぁ私…
「…手、冷たいな」
『ご、ごめん。冷え性？なんだと思う…』
「いや今はこれがいい。…気持ちい」
『…そう？』
「うん」
『…あのさ玲王くん。これ、独り言なんだけど』
返事をされつつ、指先をするりと絡ませられる。それに驚き私がビクッと反応すると、それを見て面白いと感じたのか小さく笑われた。
「何だ？」
『…上から目線かもしれないけど、どんな道を選ぶにしても自分の選択は正しかったんだってことを証明する方がいいと思う』
『私は、私やその友達が後悔しない選択をしたいし、して欲しい』
『ホント、選手でもない奴が知ったかぶりすんなって思うだろうけど』と苦笑いをする。でも雪宮くんにも言われた。遠慮しすぎるなって。國神くんの時みたいに後悔したくない。
「…そうか」
『いやホントごめん。偉そうに色々言いすぎた…後悔しない人生なんてないのにね』
「つかさ、」
『？』
キュッと恋人繋ぎをされ、彼はニヒルな笑いを私に見せた。
「友達止まりでいいのかよ」
『…え、』
「ははっ、変な顔」
「ありがとなA」と彼はペンを持ち、配布されたチーム分けの紙に丸をつける。
「何か吹っ切れたわ」
『え、ホント？』
「アイツの隣には俺しかいないって事をこの試合で証明してやる」
『それはいいけど…あの、できればもう手を…』
「んだよー俺とお前の仲だろ。今日はここで寝ようぜ」
『ダメだってば。風邪ひくよ？』
いつもの様に笑う玲王くん。そんな彼を見てつられて私も笑った。
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苺子(プロフ) - kaedeさん» コメントありがとうございます！隙あらば夢主ちゃんに構ってアピールする士道くんです（） (2023年1月20日 19時) (
レス) id: b537714951 (このIDを非表示/違反報告)
kaede(プロフ) - あは。もうありがとうございます。士道くん最高すぎて逝きそう (2023年1月19日 21時) (レス) @page42 id: 426304659c (このIDを非表示/違反報告)
苺子(プロフ) - 猫さん» コメントありがとうございます！面白いと言ってもらえて嬉しいです…！更新頑張ります (2023年1月19日 21時) (レス) id: b537714951 (このIDを非表示/違反報告)
苺子(プロフ) - 朝花さん» ご心配ありがとうございます。これからもこの小説を読んでくださると嬉しいです。よろしくお願いします (2023年1月19日 21時) (レス) id: b537714951 (このIDを非表示/違反報告)
奥山乃愛(プロフ) - 朝花さん» 分かりました！なんかすみません🙇 (2023年1月19日 6時) (レス) id: fdc1778b4b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：苺子 | 作成日時：2022年12月25日 20時
