39話 敗者 ページ40
「___
終了のホイッスルが鳴ったと同時にアナウンスが入る。私は呆然とその結果を見ていた。
「士道龍聖‼︎五十嵐栗夢‼︎」
…負けたのだ。國神くんと玲王くんペアが。悪魔と比喩される士道くんのプレーに圧巻された。
「甘っちょろいヒーローもどきなんかより、その紫ちょんまげの方がまだマシだな。いこっかイガグリちゃーん」
「…!」
「自分を壊せない人間に爆発は起こせないぜ」
スタスタと歩いていく2人。玲王くんは私に向かって「…先に行く」と肩越しに呟き、士道くん達に着いていく。2人残されたフィールドで私は國神くんに近づけないでいた。
『…國神く、』
「……悪りぃA。俺はここまでだ」
か細く呟かれる声。そして彼は汗を拭いて立ち上がった。…何て声をかければいいんだろうか。こちらもこちらで上手く声が出ない。
『…あの、こんなこと言ったら嫌味にしか聞こえないかもしれないけど…すごくかっこよかっ、』
「なぁA」
言葉を遮られる。彼の目元は前髪でよく見えないが口元は笑っていた。ただどういう感情なのか読み取れない。
「昨日の…お前のガーゼの件」
『え?あ、嗚呼…うん』
「あの時お前は何でもないって言ってたけど、本当は親にやられたんだろ」
『……え、』
何でそれを知ってるの?
怪我の事は士道くん以外に言ってない。まぁ彼の場合言わされたに近いのだが…別にやましいことがある訳ではない。ただ私自身あまり周りに言いたくないのだ。
『(もしかして士道くんとの会話聞かれてた…?)』
「いや…悪りぃ。問い詰めたい訳じゃないんだ。ただ…」
「俺は
ゾッと彼の悲しげな瞳に心が騒つく。國神くんのあんな表情初めて見る。
『…っあ…』
声が漏れる。ただその次の台詞が出てこない。考えが頭を埋め尽くす一方で言葉は行き詰まるだけだ。
そんな様子の私を見て國神くんは自虐的に笑った。
「じゃあな、“スポーツドクター”」
片手を上げて彼は”LOSERS GATE“と書かれた扉の向こうへと消えていく。
ただ1人残された私はその場に膝から崩れ落ちた。
『(……最低だ、私)』
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苺子(プロフ) - ぺんぺんさん» コメントありがとうございます!読んで頂き嬉しい限りです(*´꒳`*)これからもよろしくお願いします! (2023年3月18日 23時) (レス) id: b537714951 (このIDを非表示/違反報告)
ぺんぺん(プロフ) - 最初からとっても面白いので、ついつい熱中して呼んでしまっています・・・。これからも頑張ってください!! (2023年3月17日 20時) (レス) @page28 id: 0923c869aa (このIDを非表示/違反報告)
苺子(プロフ) - ユイさん» コメントありがとうございます!今あなた様に出会えたことに感謝です((更新頑張ります!(*'▽'*) (2023年3月15日 22時) (レス) id: b537714951 (このIDを非表示/違反報告)
ユイ - 初コメ失礼します!もっと早く見つければ良かったです。好きです!応援してます (2023年3月14日 13時) (レス) id: 0e75ff5f17 (このIDを非表示/違反報告)
苺子(プロフ) - アレンさん» コメントありがとうございます!雪宮くんに振り回される夢主です((これからもよろしくお願いします…! (2023年2月4日 11時) (レス) id: b537714951 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:苺子 | 作成日時:2022年11月29日 16時