3話 能力の話 ページ4
「ちなみにここに空になったマグカップがある」
絵心さんは黒いカップを自分の顔の近くに持ってくる。私達は不思議そうにそれを見つめた。
「んじゃ、Aちゃん。これの高さは？」
「は？」
『…』
じっとカップを見つめる。何を試されているのか分からないが、私は頭に浮かんだ数字をそのまま口にした。
『…8.5ですかね』
「えっ、」
「じゃあ重さは？」
『300はきっとないですね。230ぐらい？』
「ピンポーン。見事見事」
パチパチと感情のこもってない声で拍手をされる。帝襟さんはずっと驚いたままだ。
「えっ、えっ⁉︎絵心さん当たってるんですか⁉︎」
「さっき測った。流石だな」
「ど、どうして分かったの？」
驚く彼女を私は足からすーっと視線をあげて頭のてっぺんを見る。そして少し笑った。
『帝襟さんの身長は157cmですよね』
「え？」
『触ればスリーサイズも分かります』
「へっ⁉︎」
バッと体を反らす帝襟さん。ごめんなさい、初対面で言うのは悩んだんだけど。
反応が面白くてクスクスと笑ってしまう。不本意にも驚かれたり褒められたりしたのが嬉しかったのかもしれない。
「ここまで突出した才能はないな。もはや変態の領域」
「失礼ですよ絵心さん！」
『あはは…これは慣れというか…』
彼は頬杖をつき、隈のある目元を眠そうに下げた。
「アンリちゃん、考えてみろ。こんなことがそこら辺の人間にできると思うか？」
「た、確かに選手の些細な事にも気づきそう…スポーツドクターとして医療の知識もある訳だし、うちとしてはもちろん助かりますね！」
『(スポーツドクター志望ですけど)』
そう言おうと思ったがパッと笑う帝襟さんが可愛いので口を閉ざす。そして絵心さんは私と向き合った。
「さぁどうする？ここで見習いとして選手のサポートをして経験を積むか、机に齧り付き知識を詰め込む日々か。俺はどちらも間違いとは思わない。どの道どちらの選択も避けては通れないからな。ただ今決断をするのはお前自身だ。
_____世界の頂点を見たくはないか？」
確かに勉強も実践もスポーツドクターになるためには絶対にしなければならない。
ただ私は、
『是非、お願いします』
今この機会を逃したら絶対にいけない。考える暇もなく絵心さんにそう告げていた。
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苺子(プロフ) - ぺんぺんさん» コメントありがとうございます！読んで頂き嬉しい限りです(*´꒳`*)これからもよろしくお願いします！ (2023年3月18日 23時) (
レス) id: b537714951 (このIDを非表示/違反報告)
ぺんぺん(プロフ) - 最初からとっても面白いので、ついつい熱中して呼んでしまっています･･･。これからも頑張ってください！！ (2023年3月17日 20時) (レス) @page28 id: 0923c869aa (このIDを非表示/違反報告)
苺子(プロフ) - ユイさん» コメントありがとうございます！今あなた様に出会えたことに感謝です((更新頑張ります！(*'▽'*) (2023年3月15日 22時) (レス) id: b537714951 (このIDを非表示/違反報告)
ユイ - 初コメ失礼します!もっと早く見つければ良かったです。好きです!応援してます (2023年3月14日 13時) (レス) id: 0e75ff5f17 (このIDを非表示/違反報告)
苺子(プロフ) - アレンさん» コメントありがとうございます！雪宮くんに振り回される夢主です((これからもよろしくお願いします…！ (2023年2月4日 11時) (レス) id: b537714951 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：苺子 | 作成日時：2022年11月29日 16時
