25話 トレーニング ページ26
「わり…ありがと…(気持ち悪りぃ…吐きたいけど吐ける気がしない…)」
焦点の合わない目で、唐突に彼が指を口に入れそうになる。『(あ、)』と反射的にその腕を掴んだ。
『潔くん』
「え…」
『それはダメ』
指を突っ込んで吐くと喉の粘膜が傷つく。勿論吐けるには吐けるがその分代償が大きい。取り合えず水を飲むように促した。
『少しだけ水を飲んで深呼吸をして下さい。もし吐いたら口をすすいで。それでも落ち着かないようでしたら横向きになって少し休みましょう』
ぼーとした表情でこちらを見る潔くん。…あんまり話が入ってないな。
『…潔くん。目、合わせられますか?』
視線がゆっくりと合う。彼は荒い呼吸を落ち着かせるように浅く呼吸をしていた。
『大丈夫だからゆっくり息をして下さい。
……あれ、もしかしておでこ切ってる?』
「(あ、近…)」
ポタッ、と何かが落ちる。よく見るとそれは血だ。
最初は何が起きたのか分からなかったが、前を見ると潔くんが鼻血を出してしまったようで、
『血、』
「…!ごめっ、」
慌てて離れようとする彼の鼻をジャージの裾で押さえる。その行動が意外だったのかギョッとした表情で固まった。
『あー、やっぱりさっき顔面からこけたからかな…少しそのままでいて』
「いやっ、悪いって…!汚れるし…!(つか近い…!)」
『血ぐらい大丈夫。気にしないで』
恥ずかしそうにするが、私が至って冷静でいるからか彼も大人しくされるがままになった。水の補充とティッシュも持ってこないとね。
「……ごめん、ホントに」
『え?ああ、大丈夫だよ。私のことは本当に気にしなくていいから』
「(鼻血でたとこ見られた上に、こっちが変に意識してるから尚更恥ずい…)」
「…男前だなAちゃん」
「潔いいなー」
「お前ら自分のこと心配しろよ…」
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苺子(プロフ) - ぺんぺんさん» コメントありがとうございます!読んで頂き嬉しい限りです(*´꒳`*)これからもよろしくお願いします! (2023年3月18日 23時) (レス) id: b537714951 (このIDを非表示/違反報告)
ぺんぺん(プロフ) - 最初からとっても面白いので、ついつい熱中して呼んでしまっています・・・。これからも頑張ってください!! (2023年3月17日 20時) (レス) @page28 id: 0923c869aa (このIDを非表示/違反報告)
苺子(プロフ) - ユイさん» コメントありがとうございます!今あなた様に出会えたことに感謝です((更新頑張ります!(*'▽'*) (2023年3月15日 22時) (レス) id: b537714951 (このIDを非表示/違反報告)
ユイ - 初コメ失礼します!もっと早く見つければ良かったです。好きです!応援してます (2023年3月14日 13時) (レス) id: 0e75ff5f17 (このIDを非表示/違反報告)
苺子(プロフ) - アレンさん» コメントありがとうございます!雪宮くんに振り回される夢主です((これからもよろしくお願いします…! (2023年2月4日 11時) (レス) id: b537714951 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:苺子 | 作成日時:2022年11月29日 16時