チョコレートのお味は。~短編集~【KZ】

続き ページ11

まてよ。…さっきって、何？いつのこと？

これは…夢？

それとも、さっきまでが夢？


頭がこんがらがって、何が本当で何が嘘なのか、わからなくなる。


「アーヤ、俺…」

わけがわからなくて呆然と突っ立っていると、アーヤが顔を歪ませた。

「貰って、くれないの…？

私、翼くのために、頑張って、作った、のに。」


違う。俺はいらなくなんかないよ。

そう言いたいのに、受け取りたいのに、まるで金縛りにあったかのように、声が出ない、手が動かない。


こうしている間に、どんどん彼女の目が潤んでいく。

俺はアーヤを傷つけたくないのに…！


彼女は、ぼたぼたと大粒の涙を溢しながら、俺を見る。


あ…。また、だ。また俺は、アーヤを傷つけたんだ。

アーヤは悪くないのに。悪いのは俺なのに！

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