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――・・・・キィ、と重たい扉を後ろ手で閉める。
ここてもうひとつ深呼吸。暖かい春の風が頬を掠めた。
私しか知らない特等席へと重たい足取りで向かう。
屋上に設置されたハシゴを登り、先ほどから手を痺れさせている荷物を少し乱暴に置く。

――給水タンクが設置された小さなスペース。
そこで昼寝をするのが最近の日課であり、唯一の楽しみでもある。
私がここに居ることはほとんどの生徒が知らない、癒しの空間。
時にはそこで昼食をとり、時にはそこで友人と長電話。

『……そういえば、まだ飯食って無かったな。』

小さく泣き声をあげる腹の虫を抑えるように、軽くお腹をさすると、
私は先ほど貰った――いや、無理やり持たされた大きな紙袋から小包を取り出す。
赤いリボンでラッピングのされた可愛らしい小包の中には、
お店で買ったものなのか、手作りなのか分からないクッキーが数枚、小分けで入っていた。
――一枚、口に含む。

『……ん、まぁまぁだな。』

甘いものは好きだが、硬いクッキーは好まない。
どちらかと言うとしっとりとしている方が好きだ。
ふぅ、とひとつ溜め息を吐き、その場にごろんと横になった。
結った髪が乱れるのは仕方ない、起きたら結びなおそう。
重たい瞼をそっと閉じると、私はそのまま深い眠りに付いた――・・・


――――
――

――・・・何時間寝ていたのだろうか。
瞼が重い、相当寝ていたことがわかる。
後5分。5分だけ、と、寝返りを打とうとすると、
カサ、と頬に小さな刺激を感じた。

何か、ある。
風でクッキーの包みが飛んだのだろうか。
頬に当たる何かを確認しようと、重たい瞼を開くと――

「あれ、起きちゃった――・・・」

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リル(プロフ) - うああっ!久々の戦闘シーン!夢主ちゃんかっこいい〜。 (2018年6月18日 19時) (レス) id: 2e93d67cbd (このIDを非表示/違反報告)
ミッシェル(プロフ) - あかりさん» ありがとうございます〜〜!めちゃめちゃ嬉しいです!もっと可愛くかっこよく魔法少年キラキラさせないとですね!頑張ります! (2018年3月30日 14時) (レス) id: a50b082e12 (このIDを非表示/違反報告)
あかり - いや、そーいう意味じゃなくて、要ちゃんが可愛いすぎてヤバいんです!ミッシェルさんの要ちゃんも、可愛いくて、かっこよくてヤバい! (2018年3月30日 13時) (レス) id: 2e93d67cbd (このIDを非表示/違反報告)
ミッシェル(プロフ) - あかりさん» コメントありがとうございます〜!私も書いてて性格が迷子になりつつあってヤバいと思ってます(( ちょこちょこ更新しますのでその際はまた見ていただけると嬉しいです! (2018年3月27日 17時) (レス) id: a50b082e12 (このIDを非表示/違反報告)
あかり - 要ちゃんヤバいなぁ……。更新頑張ってください! (2018年3月27日 16時) (レス) id: 2e93d67cbd (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ミッシェル | 作者ホームページ:×  
作成日時:2016年3月23日 20時

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