〈HQ〉君のチョコレート【赤葦京治】【完結】3

3-24 粒目 ページ25

木兎さんと赤葦くんがいた。




赤葦くんは少し笑ってる気がする。

赤「大変そうだね。」

貴「いや…。えぇ…。」

兎「どっちだよ。」

木兎さんは笑っていた。




恥ずかしくて1年2人を押しやって、

ペコリと頭を下げて通り過ぎた。









貴「あ！！」









兎「うおっ。どうした？」

大事な事を思い出した私は

勢いよく振り返る。




木兎さんは少しビックリしてる。

ただ、私はそれどころではない。





貴「ぼ、木兎さん！！後で雪絵先輩を一瞬貸してください！！！」

小声で。でもできる限り力強く。

木兎さんは私の勢いに言葉が出ないのか

は？とか、え？と言っている。




木兎さんの前で手を合わせる。

貴「お願いしますー。あと、それまでウチのコーチを雪絵先輩になるべく近づけないで…！お願いですー！！」

木兎さんはうーん。うーん。と唸りながら

返事をしてくれた。

兎「Aの頼みだからな！雪っぺ貸すのは全然構わないし、断らねーけど…近づかせないって…。」

木兎さんは赤葦くんの方を困った様子で見た。




無理なお願いしてるのは重々承知だけど、

この嘘は面倒なことにならないためにも

貫き通したい。

一緒に過ごしてたのが赤葦くんだってバレたら

それこそ兄さんはさらに面倒くさい。





赤「なるべく早いタイミングで白福さんを連れて行けばいい？」

私は赤葦くんの方に顔を上げる。

木兎さんも、おぉ！と反応した。




赤「そっちの話が終わりそうなタイミングでお願いしとくよ。」

赤葦くんはこっそり逃げようとしていた

日向と影山を見ながら言った。

2人はビクッと反応している。




貴「あ。あんた達…。」

私は2人を捕獲し直して、赤葦くんを見た。





貴「ありがとう…。」





早いタイミングで話せれば

何も問題ない。ただ心配なのは…





貴「赤葦くんが連れてきてくれるの？」





赤葦くんと過ごしてた時間の事を

赤葦くんの前で

男の赤葦くんじゃなくて

雪絵先輩と一緒にいたことにしてください。

と話すのは非常に気まずい。

申し訳ない。





赤「大丈夫。そういう時は男がいない方が良いよね？」





貴「！！…赤葦くん…。ホントありがとう…。」




赤葦くんは、全然。と微笑んでくれた。









あぁ…なんて紳士。

やっぱ赤葦くんはモテ男だと思った。

絶対モテ男だ。

3-25 粒目→←3-23 粒目

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す