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fuga side.
『ふーが、』
「なに」
『…なんか、怒ってる?』
控室の隅っこで椅子に座ってスマホゲームしてたらちょこんと隣の椅子に座ってくるA。
さっきまでストレートやった髪は拓哉にセットしてもらったのかふわふわに巻かれていた。
「べつに。なんも怒ってへんけど」
『でも、なんかきげんわるい』
「べつに怒ってへんて」
機嫌悪いのは正解やけど。
『じゃあなんでこっち向いてくれんの…』
俺がスマホに目線を落としたまま話してたからか、今にも泣きそうな声を出すAに思わず顔を上げればほんまに泣きそうな顔してるAと目が合った。
目に涙を溜めてじっと俺を見つめてくるから、思わずため息が溢れる。
「だから別に怒ってはない」
『……………じゃあ、』
「お前が斗亜とベタベタしてるからやろ」
さっきからずーっと斗亜とくっついてベタベタして騒いでたお前の姿、俺がどんな気持ちで見てたと思ってんの。
別に俺やって他の男と話すなとか、一緒におんなって言いたいわけじゃないねん。
そもそも斗亜はメンバーやし、別に俺ら付き合ってるわけじゃないし。
Aにとっては俺やってただのメンバーなわけやし。
でもさすがに、あんな至近距離でベタベタされてたらいい気せえへんのはしゃーないやん。
『……ごめん』
「お前距離近いねん。斗亜やからまだいいけど、あんまり他の男とベタベタせんといて」
ごめん、ともう一度謝ってしゅんとしてるAの頭に手を置くとちらりと俺の方を見上げてくるから自然と上目遣いになってて。
あぁもうあかん、なんでこんなに好きなんやろ。
「髪、拓哉にやってもらったん?」
『え?あ、うん…さっきやってもらった』
「ふーん。ええやん」
ふわふわと揺れる栗色の髪に触れると、愛しい気持ちが溢れ出しそうになる。
ほんと?って嬉しそうに笑うAに可愛いやん、とは言えへんかったけど。
まぁ俺らは、今はまだこれでいいや。
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作者名:しゃけ | 作成日時:2024年1月9日 23時