ふたり乗り (ページ25)

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お粥を作り終わると
すでに時計は20時半を指していた。

ソファで眠っている那須くんのそばへ行くとさっきよりも顔は穏やかになっている。

置き手紙をするために
メモ帳とボールペンを鞄から取り出し

″スポーツドリンクは冷蔵庫に、薬はビニール袋の中にあります。
お粥も作ったので、温めて食べてね。″

と書き机に置く。

お大事に、など
もう一言くらい書いた方がいいかと
悩んでいるうちに瞼が重くなっていった。

うっすらと目を開けると
少し寝癖のついた彼の姿。

｢あ、起きた｣

｢あっ...ごめん...｣

｢たまごちゃん泣いてた｣

｢え？｣

那須くんの手が
顔に近づいてくるかと思ったら

｢ほら、ついてる｣

私の頬に触れて涙を拭われる。

その大きな手と
真っ直ぐと私を見つめる彼の瞳に
私の心臓はうるさく鳴り出す。

もうダメなの、
そう自分に言い聞かせても
鳴り止むことは無かった。

｢てかこれ、超うまい！｣

そう言って那須くんはパクパクとお粥を頬張り始める。
｢美味しい？｣と聞きたいところだが
今の私の心にそんな余裕は無い。

｢...私帰るね｣

とにかくここから逃げたい。
その一心で鞄を持って立ち上がったときだった。

｢まって｣

私の腕は那須くんに掴まれる。

｢なに...？｣

｢Aって呼んでもいい？｣

今ですか、那須くんの爆弾発言。