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「やばい、遅刻する!」
ヘアアイロンを温めながら制服に着替え、適当に髪をしばる。
約1ヵ月ぶりの慌ただしい朝。
高校1年の夏休みが終わったのだ。
アイロンが温まっていることを確認して前髪を軽く巻く。
「いってきます」と家を出ると
ダッシュすればまだ間に合う時間だった。
私は夏休み明けの寝ぼけた体を叩き起すようにして走る。
ところが角を2つほど曲がったところで、
段差につまづいて転んだ。
「いった、」
通りかかる人々のじろじろとした視線を感じて恥ずかしくなる。
「大丈夫?」
声のするほうを向くと自転車にまたがった男子高校生がいた。違う制服を着ていて他校らしい。
「大丈夫です、、うっ」
足を捻っていたようで立ち上がれないでいると
彼は自転車を止め、私のそばまで来て
私の腕を肩に回すとぐっと引っ張った。
「ありがとうございます」
「良かったら俺の自転車の後ろ乗って。その足じゃ走れないし遅刻しちゃうでしょ」
「えっ?いやいやそんな」
「いいから!」
「ほんとに、大丈夫です!」
さすがにそんな図々しいことはできないと思った私はきっぱりと断る。
彼は自転車に跨りながらこちらを見た。
「君だけ置いてけぼりになんてできない」
いつの間にか私は、半ば強引に乗せられたのだった。
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作者名:ちょこころね | 作成日時:2018年12月23日 8時