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化物狐の血筋 3 ページ25

「飛鳥、ただいま」

呼びかけてみたが、返事が無い。
然して、血腥い。何故?
羽菜の背中にゾクリと悪寒が走った。

『今日は仕事が無いから、家でゆっくりしてる』
そう言っていた筈なのに、どうして返事が無いのだろうか。不思議に感じた羽菜は、寝室へと戻る。

「あ…あ、飛鳥!?ねぇ、如何したの!?飛鳥!!」
ひゅうひゅうと、細い息を辛うじて出している。
飛鳥は腹部を貫かれていた。自分でやった事ではない事くらいは直ぐに判断できた。

「飛鳥、飛鳥…待ってて、直ぐにお医者様を連れてくる!!」
「父さん、どうしたの…だ、大丈夫?」

偶然にも医者が向かいの家に住んでいたため、直ぐに駆けつけてくれた。
流石は医者、と云うべきか、治療が迅速で一命を飛鳥は取り留めた。

然し、残酷にも医者は羽菜と蓮月に告げた。

「飛鳥さんの余命は僅か、になると思います」
「そんなっ、嘘ですよね」
「……」

医者は俯いた。俯き乍ら、首を横に振った。
「もう、永くはありません。」

蓮月は意味が分かっていないようだった。

(自分は妖で、今、手をギュッと握っている愛おしいわが子は、半妖で。
でも、愛しい夫は、紛れも無く人間で。

自分達よりも先に逝ってしまうことも覚悟はしていたのに。)

『どうして、こんなにも辛いのだろう。』

第六章 有限なる命→←化物狐の血筋 2



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作者名:みりんちょこ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/fbkkydi/  
作成日時:2014年11月23日 21時

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