【短編集】天空の鳥

【剣】落ち着く場所 ページ3

* 広瀬 A:剣崎の彼女。栞の妹。
* MISSING ACEルート

＿＿＿＿

｢お姉ちゃん結婚式どうするの！？結局すっぽかしちゃって……あの後大変だったんだからね！？｣
｢でもまぁ世界は救われたし万事解決ってことでいいんじゃないの？｣

結婚式をすっぽかした姉、栞の説教に白井家では怒号が鳴り響く。

世界が救われたのは良いかもだけど、というかそれを優先するのは分かるけど、仮にもあれだけ楽しみにしていた結婚式をすっぽかしてしまう姉はやっぱり変な人間なんだと思う。

｢まぁでもさ、私はもう籍入れてるし、もういいよ結婚式とか｣
｢えぇ……｣
｢まぁまぁ、落ち着いてよAちゃん｣
｢そうだぞ、広瀬さんはそういう人だから｣

男性陣が(一部フォロー出来てないが)フォローに回る。それを見た姉はニヤッとした。

｢そんなことより、Aと剣崎くんの結婚式の方が私にとっちゃ重大なんだけどなぁ｣

｢｢……えっ！？！？｣｣
｢実はこの間結婚式場で見かけたのよね……剣崎くんが何か必死に相談してるとこ｣
｢広瀬さんストップ、ちょっ、ほんと｣

剣崎くんが止めに入ってもお姉ちゃんの口は留まることを知らない。私はもう頭が回らず、虎太郎は呆然としていた。

｢まぁ？結婚式場であんな真剣に相談するなんて1つしかないよね、A｣
｢……え？あの、ちょっと思考回路が追いついてなくて｣

刹那、無言で私を外に引っ張り出す剣崎くん。

｢あの、さ！｣
｢は、はい｣
｢こんな形になっちゃったけど！｣
｢う、うん｣
｢俺と、結婚しませんか？｣

やっと理解した。彼が最近こそこそしてたのは。
｢……はい！喜んで、って言えばいいかな｣
このせいだったのか。

｢よっしゃぁぁぁ｣
｢ちょ、うるさいよ剣崎くん｣
｢早くこれ書いてよ剣崎さん｣
｢っ……〜〜〜〜！？｣

剣崎さん、と共に突き出された婚姻届。
｢……あぁもう、こんな女でほんとに良いの？｣
｢Aちゃんが良いんだよ｣
｢……ありがと、か、一真、くん｣

Aっ！！今！！
うるさいってば剣崎くん！！
痴話喧嘩は他所でやりなさいよー
良いなぁ、僕も相手が欲しい
白井くんはしばらく無理そうね
そんな〜〜！！

明るい声が響き渡る、銀杏並木の旬な昼下がり。

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