ファイル01.7 あの日 ページ4
「あとは大瀬くんの部屋ですね!大瀬くーん?起きてますかー!?」
素早いノックが203号室のドアを揺らす。
「あっ、り、理解さん…に、テラさんまで……」
「こんなクソ吉のために朝早く起こしてくださり、ありがとうございます。」
目の下にすごいクマを作り、朝になったばかりなのにもう疲れきった様子の彼は、内罰のカリスマ 湊大瀬。
「朝からこんなことがあっていいのでしょうか…。皆様にこんな汚らしい姿を見せる前に死にます...」
少しだけ開いたドアの間から見える姿は、ロープを持ったまま椅子に乗る湊君だった。
「大瀬くん!!!!首吊らないで!!!」
「何をしているおばけくーん!?」
ドアを開け、部屋に強引に入る2人。力が強いだとか言いながら湊君の首にロープがかかるのを全力で防いだ。
「皆さーーん!!そろそろ朝ごはんですよー!」
リビングから聞こえてくる本橋君の声に、3人の意識はそちらへ向いた。
「ほら大瀬さん!朝ごはんですよ朝ごはん!いや〜今日は何でしょうね!!大瀬さんの好きな朝ごはんはなんですか!?」
「テラくんアイス乗ったパンケーキがいいな〜!!あっでも食べきれないかも!!オバケくん食べるの手伝ってくれる!!??」
多種多様な止め方に、思わず微笑みを浮かべてしまう。
「じ、自分を頼ってくださるのですか!?なら…せめて役に立ってから死にます。」
湊君は子供のように喜び、椅子から降りた。
そして3人でリビングへ降りると、そこには
「……あと少しだったのに。」
人数分のヨーグルトボウルに手を伸ばしていた男がいた。
「PPPPPP!!!ふみやさん!!それはいけません!!人のものを奪ってはいけません!!!」
「奪っちゃダメ?なんで?」
ヨーグルトボウルのスプーンを持ちながら、神妙な面持ちで話し出す。
「理解、お前は朝食を規則正しく摂るのがいいって言ってたよな?だから俺はいつもと同じ時間に飯を食ってただけだよ。」
「それに、なんの事情があろうと時間に遅れてきた奴よりも最初に来た奴の方が有利なのがこの世の理で、時間との戦いにも勝てなかったお前はこのヨーグルトボウルを食べる権利はない。」
「食品ロスは地球に多大な影響を与えてしまい、世界の温暖化を進める。お前に借りた本に書いてあったけど?」
独自の理論を展開するこの男は、正邪のカリスマ 伊藤ふみや。
この家は、どこか異常だ。
これからは、このファイルを君に共有する。
カリスマの力を分析するため、君にも意見を求めたい。
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作者名:ショコラ | 作成日時:2024年3月21日 15時