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『次帰国した時は初体験話楽しみにしてる』ってお茶目な笑顔で帰った由奈。
日本の大学を出て、自分の夢の為に単身アメリカに渡って向こうの大学院で学んでる由奈は私にとって憧れで自慢の友達。
だけど、自分の好きに飛び回れて羨ましいとも思う。
由奈はしっかり自分を持っていて突き進む意志の強さがあるからなのに…
私はそれを持ってなくて飛び出す勇気もないだけだ。
結局はこの生活を捨てきれないだけなんだ。
そんな私は由奈を羨ましく思う資格はない。
逆に私みたいな生活に憧れる人だっているはずで…
所詮、隣の芝生は青い…って事なんだよね…。
「お嬢様？こちらを…。」
そう言って相葉が私に差し出したのはスマホ。
私がこんな生活してるからか、それとも社会人になり忙しいからか友人からの連絡はまばらで、それをさして気にもしない私。
「お時間的に櫻井様ではございませんか？」
チラリと時計を見ると午後４時。
「そうね…。」
今日は何時頃にどうする…っていう予定を毎日３〜４時の間に送ってくる。
こういう物に疎い私のスマホを操作する手つきは拙い。
「…え？」
「お嬢様？」
相葉が不思議そうに私を見て。
「翔さん体調が悪いみたい…。だから今日は会えないって…。」
寂しさが声色にも表れて…
「そうでございますか。」
私の気持ちを汲んでか相葉も寂しそうに目を細めた。
「うん…。」
お付き合いを始めてからずっと、和くんが嫌味言うほど毎日毎日会いに来てくれてたから、心のぽっかりと穴が空いたような寂しさを感じる。
この寂しさは和くんでも相葉でも智くんでも埋められない…きっと。
「お嬢様？お見舞いに伺ったらどうですか？」
そんな私を見兼ねて相葉がそう提案した。
「櫻井様もお嬢様のお顔を拝見したいと思いますよ？体調が悪いと人は寂しさを感じやすいものですし…。」
「でも…邪魔じゃなかな？ゆっくり休みたいかも…。」
そもそも私の所に通ってたばっかりに無理をして体調を崩したかもしれないのに…。
「絶対に喜んでくださると思います。」
「やけに自信満々ね？」
「はい。それはもう。櫻井様のお嬢様に対する可愛がり方を毎日見ておりますので。」
そう言って意地悪く笑った相葉に、手元にあったクッションを投げつけた。
「やはりお嬢様は大変可愛いらしい。和也様と櫻井様のお気持ちがこの相葉にもよくわかります。」
なによ…
みんなして子供扱いするんだから。
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作者名：しおなな
| 作成日時：2018年4月17日 18時
