７０ 〜J〜 ページ30
色ボケ若に次期家元としての自覚を持って稽古をして欲しいし、A様を嫁にするつもりがあるならそれ相応の稽古をしなければならないのに…
若はやっぱりただの色ボケ男。
着物を着てるのが更に若の萌えポイントをアップさせてるのか…。
俺がいるのをわかっててもデレデレイチャイチャ。
「若。」
そのまま畳の上に押し倒しそうな勢いの若を止めるべく声をかけるもスルーされて…。
「し、翔さん//松本さんがいるのに…。」
「いねぇ。あいつは壁だと思え。」
「無理です//それにそんなに強く後ろから抱きしめられたら帯が…。」
「大丈夫だ。俺を誰だと思ってる。ちゃんと直してやるよ……たとえ全裸にしても……な？」
「なっ//！！」
「ククク。いちいち可愛いな…お前は。」
「もぉ//」
………勝手にして。
もうやってらんねぇよ！！
スクッと立って部屋を出た。
若から声がかかるかと柱の陰に隠れるも…
「ほ、ほら翔さん！松本さん…怒っちゃいましたよ？」
「あ？いいよ別に。邪魔が居なくなってかえってよかった。」
あ〜そっ？
俺がどれだけ傍若無人の若に尽くしてきたのか…
俺がいないと困るのは若の方なのに！
「あ！おい！潤！ちょっと待て！」
ほらほら…ね？
結局、若は俺がいないとダメなんだ。
障子を開けて和室に踏み入れ…
「お前、アレ手持ちにあるか？今日どうこうなるつもりねぇけど…準備しといて損はねぇ。」
………。
「それくらいご自分で用意されたらどうですか？」
「お前女いねぇもんな。やっぱ持ってねぇか。そんじゃお前買って来いよ。」
どうして俺が他人が使う避妊具を買って来なきゃなんないんだよ！
俺は付き人であって家来でもパシリでもない！
「翔さん？アレ…？って…？」
若に後ろから抱きしめられたまま不思議そうにきょとんとしてるA様に、
「うん？なんでもない。男の必需品で女のお前が気にする事はない。」
こめかみにキスを落とす。
キスを落とされる度に頬をピンクに染める初心なA様にメロメロトロトロの若。
「潤。もう稽古は終わったし、デートに出てもいいだろ？ここにいるとそのまま押し倒しちまいそうだ。」
「どうぞご勝手に。」
俺がなんと言おうが聞く耳持たないクセに。
「だってよ！A？どこ行きたい？」
だけど結局は…
嬉しそうに笑う若を見て、俺も嬉しいって思っちゃうんだから…
俺も大概だな…。
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作者名：しおなな
| 作成日時：2018年4月17日 18時
