蝶よ華よ… 【２】 (ページ27)

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ゆっくりゆっくりほっぺを撫でられて…

唇の型に沿って指を滑らせ…

『姫？今日も大変お美しいです。』

にっこり笑ってそう言ってくれるのは翔さんに似た王子様。

『…そんな//』

『照れたお顔もまた愛らしい。』

恥ずかしくて俯く私の顎の下に手を滑らせて軽く持ち上げられる。

フッと笑った王子様の目が伏せられて徐々に私に近づいて………

翔「おい！変態クソ兄貴！俺のAに触んな！」

和「は？誰がお前の？戸籍上は俺のが近いんだよ。お前は赤の他人。」

「もう！うるさい！朝からなんなの？！」

ガバッと起きると、『おはよ、A』って和くんがギュッてしてほっぺにキス…。

「和くん…朝からうるさいよ…。」

寝ぼけ眼を擦って。

和「うん。ごめんね？『おい、離れろや』」

うん？

パチリと目を開けると、目の前には不機嫌丸出しの翔さん。

「え？え？」

和「朝から押しかけてくるなんて非常識だよね？追い返すね？」

翔「もう９時過ぎてるぞ？朝じゃねぇだろ。つーかてめぇは仕事行けや。」

和「それはお前もだろ？次期家元さん。」

翔「俺が出張る稽古なんてそうそうねぇんだよ。その俺が出稽古に来てやったんだ。ありがてぇだろうが。」

「え？出稽古…？」

何の話？

私は全く聞いてないよ。

和「そんなの頼んでねぇし。おい、相葉。追い出せ。そもそも何で家に入れたんだよ。役に立たねぇ執事だな。」

相葉は苦笑いを浮かべてるだけで…。

翔「俺の嫁になるなら最低限の華の知識と技術は身につけとくべきだろうが。」

和「あ？誰がてめぇにくれてやるって言ったよ。勝手に話進めんな。」

翔「付き合った時点で決まりだろうが。いつまでも駄々こねるなクソ兄貴。」

和「は？てめぇの頭は花畑か？付き合うイコール結婚とか…あぁ！華道家だもんな！」

翔「お前…幾度となく俺をバカにしやがって…。」

「……るさい…。」

和「ん？どうしたの？あいつ追い出す？」

「二人共うるさいの！私の気持ち無視して勝手に言いたい放題！部屋から出てって！」

大声で言った私を驚き見ている二人。

「相葉！追い出して！」

相「かしこまりました。」

そう言うと相葉は和くんを担いだ。

和「おい！相葉！『私の主はお嬢様です』」

『大野さんがお待ちですよ』って言いながらパタンとドアが閉められて、取り残されたのはベッドにいる私と翔さん。

翔さんは視線を宙に向けて気まずそうに忙しなく動かした。