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いつまでも塞ぎ込んでいてもしょうがないし、周りのみんなに心配をかけるだけで…
ボーッとベッドの上にいてもあの楽しかったデートを思い出して余計に悲しくなるだけ…。
山岸さんとお花のお手入れをしたり、クッキーやケーキのお菓子作りをしたりして気分を紛らわす。
私の作ったお菓子は和くんが全部食べてくれて、『美味しい』って笑って言ってくれる。
時間的にティータイムの午後３時。
毎日、この時間になると私を山岸さんに任せて相葉は部屋を出る。
ひとりでティータイムは寂しいと、ずっと相葉が付き合ってくれてたのに…。
山岸さんは優しいお姉ちゃんみたいな存在だから一緒に女子トークできて、それはそれで嬉しいし楽しいんだけど、なんかちょっと寂しくて。
「あれ？雨？」
ティータイムを楽しみながら、暗くなってきた窓の外に目を向けると確かに雨粒が確認できる。
「大変！お洗濯物を取り込まないと！」
山岸さんが慌てて部屋を出て行き、私は外の様子を確認しようとお花が飾られている窓際に立った。
「…え…？」
濃紺の着物を着て和傘をさし、こちらを見上げているのは間違いなく櫻井さんで…。
え？
何で…？
見間違い…？
パチパチと瞬きをし私の姿を確認すると、目を見開き見つめてるのはやっぱり櫻井さん…。
櫻井さんの口元が『A』って動いて…
その切なそうな表情にキューッと心臓が痛くて、咄嗟にカーテンに隠れた。
何で…？
どうして？
あの女性と婚約するはずなのに…
断ったうちに何の用が…？
それにあんな顔をしながら私の名前を口にするとか…
また都合よく期待しちゃうよ…。
カーテンを掴む手が震えて、足も震えてしゃがみ込みんだ。
「お嬢様？本日はアイリスで…お嬢様？！どうされました？！」
窓際でしゃがみ込む私に相葉が慌てて駆け寄って来て支えてくれる。
「…相葉？」
「はい。」
「ねぇ…あの花は誰が…誰が…？教えて？隠さないで知ってる事を言いなさい。」
相葉の腕にしがみついて縋って聞く。
「お嬢様…それは…。」
言うか言うまいかと視線を忙しなく動かして挙動不審。
そういう態度って事は私が知らない事を知ってるって物語っていて。
「相葉。主の言う事がきけないの？」
「お嬢様。私には申し上げてよいのか判断がつかず…申し訳ございません。」
立ち上がり深々と頭を下げた。
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作者名：しおなな
| 作成日時：2018年4月17日 18時
