４２ 〜O〜 ページ2
「松本様よりお嬢様の姿が見えないとのご連絡がありまして、こちらで捜索したところ、そちらに向かっていると思われます。」
Aちゃんの様子が気になってしょうがない和也に何とか仕事させようと宥めてたら相葉さんからそう連絡が…。
「和也様の元に向かわれる前に何とか私が探して連れ帰ろうと思ったのですが…。」
休日で道が混んでて間に合わなかったのね…。
「いいよ。わかった。俺が何とか対処する。」
そう言った時、ドアの向こうから聞こえてた和也の怒鳴り声が聞こえなくなり、代わりに『バン！』と専務室のドアが開く音がした。
「大野さん？」
その破壊音とでも言うべき大きな音は電話越しでも聞き取れたようで…。
「タイムオーバーかな？」
ため息をついて電話を切った。
和也が乗ったであろうエレベーターが再度上がって来るのを待ち下に降りると、社員通用口で抱き合う兄妹。
社員の目が興味と驚きと好奇を映してる。
俺の姿を捉えた和也の目は、未だ嘗て見た事がないほどに怒りと憎悪に満ちていて…
不覚にも恐怖で震えた。
Aちゃんをしっかりと抱いたままの和也を乗せて屋敷に向かうと、玄関にはそわそわと右往左往している相葉さんがいて、この車を確認するとまだ停車していないのに走り寄って来た。
屋敷敷地内だからスピードも出てないけど、思わず急ブレーキを踏む。
「お嬢様！！」
慌てた様子で後部座席のドアを開け、和也の腕の中にいるAちゃんを確認すると安堵のため息をついた。
「相葉さん？車、玄関につけるから。」
「は、はい！申し訳ございません。」
「いいよ。わかってる。」
大事な主が心配だったんだよね？
世間や俗世の汚れた物を見ないように育だてられたお嬢様が…。
Aちゃんと御曹司の間に何があったのか…
それは和也も気になってるところだろうけど聞かないし、Aちゃんも話さない。
相葉さんが玄関前に戻るのを見届けて車を発進させ玄関前に停車させると、相葉さんは後部座席のドアを開ける。
「A？お家着いたよ？もう大丈夫。誰も…何もAを傷つける物なんてない場所に帰って来たよ？」
「…ん。」
しがみついてた和也から離れたAちゃんは相葉さんが、しっかりと支えて屋敷内に入って行く。
玄関のドアが閉まったところで…
「見合いは断れ。」
「和也…それは…。」
「Aの意思だ。」
そう冷たく言い放つと和也も車を降りた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 494人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：しおなな
| 作成日時：2018年4月17日 18時
