71.如月叶人1 ページ32
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そんなこんなで翌日、文化祭二日目。午前八時頃、疎らにも登校した生徒達が集まり始めていた。
クラスメイトと話し合う者、忙しく廊下を走る者……。校内は活気付き、各々が各々の役割を果たそうと働いていて、皆きらきらと輝いている。祭りならではのこの騒がしい雰囲気が、如月は大好きだった。
特別時間に余裕がある訳でも無いが、寮から生徒会室までのルートを、わざと遠回りなものを選んだ。
この学校は、寮に一番近い南校舎に三年の教室や職員室、次に近い北校舎に一二年の教室、一番遠い校舎が所謂部室棟、という作りになっており、文化祭で使われるのは北と南だけだ。
如月は、三年の教室が並ぶ廊下を歩く。すれ違う友達に挨拶しつつ、他のクラスの様子を覗きつつ、自分のクラスに向かった。3-Aは、シューティングゲームの模擬店で、昨日はそこそこ人が来たらしい。顔を出せば、彼に気づいたクラスメイト達が声を掛ける。
「お、生徒会長。副会長もう生徒会の方行ったみたいだけど?」
「まだ大丈夫だよ。なっちゃんがせっかちなだけ! クラスの方、手伝えなくてごめんね」
「大丈夫大丈夫! そっちの方が大変だろ」
「てか、昨日の劇見たんだけど。お前マジ王子だったわ」
「うそ照れる〜」
「くねくねすんなキモい」
「夏目の魔王もやべぇな、クソ笑った。あと噂の姫! マジ可愛いかった」
「そう!! うちのかおるん最高でしょ!!」
「うん、かおるん知らんけど。あれは客来るよなー、ま、ガンバ」
「ありがとう、そっちも頑張って!」
時計を見れば、針は八時十五分を指していた。いけない、と如月は教室を後にして、一二年棟の様子をさらっと見回り、部活棟では演劇部の部室に寄って衣装の礼を言い、やっと生徒会室に辿り着いた。
やあやあ皆、おはよう! なんて声高々に部屋に入った途端、夏目の怒鳴り声が響く。
「こんな時間までどこに居た!! もう時間無いぞ!」
「僕着替えるだけなんだし良いじゃん別にー。あっ、かおるんおはよーー!!」
柏木の存在に気づいた如月は、一直線に彼に突進した。逃げようとしたものの、運悪く捕まってしまった後輩は、力づくでそれを引き剥がし、じとりとした目で如月を睨みながら、悪態をつく。
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こめ(プロフ) - 蒼月さん» コメントありがとうございます!ひええ……勿体無いお言葉ありがとうございます:;(∩´_`∩);:とても展開も更新も遅いのですが、頑張ろうと思います…!! (2017年9月10日 22時) (レス) id: 68f211f4d4 (このIDを非表示/違反報告)
蒼月 - 文章が綺麗でとても読みやすかったです。BL?は初めて読んだのですが、文のおかげで内容に入り込みやすかったです。この作品がとても好きなので、これからも更新頑張ってください!待ってます! (2017年9月10日 21時) (レス) id: 7a41753020 (このIDを非表示/違反報告)
こめ(プロフ) - カジャさん» いえ、ゴンドラの唄の命短し恋せよ少女を元にしました。 (2017年8月15日 22時) (レス) id: c081f3254b (このIDを非表示/違反報告)
カジャ - 夜は短し歩けよ乙女からタイトルとってますか? (2017年8月15日 17時) (レス) id: 6539cbd64d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:こめ | 作者ホームページ:http://nanos.jp/chiy1/
作成日時:2016年11月5日 12時