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『次、大学病院前に停まります』
車内アナウンスが次のバス停を知らせる。
「次、大学病院だって。降りる？」
和也の答えはわかりきっていたけど、潤は一応和也に小声でそう聞いてみた。
「…絶対ヤダ。降りても病院にはいかない」
俯いたまま、和也の小さいけれど断固とした声が返ってきた。
「さっきより少し楽になってきましたか？」
「あ、はい…ありがとう、ございます…」
男性の問いかけに、和也は一瞬顔をあげかけたが、またすぐに手で顔を覆い俯く。まだ顔をあげるのは辛いようだ。
よかった、と男性が微笑む。
「今日みたいに暑くて混んでいる車内では貧血を起こしやすくなるので、難しいとは思いますがなるべく座っててくださいね。ではお大事になさってください」
そう言って、男性は次のバス停で颯爽と降りていった。
ここで降りるということは…もしかして医者？！と潤はドキッとした。
医者ならば、いつか実習や仕事なんかで、出会うことがあるかもしれない。
「ねぇ」と和也の声がして、潤は自分が考え込んでいたことに気づき、慌てて和也の顔を覗き込む。
「どうした？和にぃ？！吐きそう？！」
そんな潤に、和也が顔をしかめながら口を開いた。
「違うから。それより、潤くんが降りるバス停、過ぎちゃったけど…」
「えっ？！」
慌てて窓から景色を見ると、バスは潤が降りるはずのバス停を過ぎたところだった。
「おまえ、そういう事は早く言えよ？！」
「気づいててわざと降りないのかなとも思ったんだもん」
「はぁ？！」
確かに潤の性格からして、この状態の和也を置いて一人でバスを降りるはずはないのだが、それを和也にやんわり指摘されると恥ずかしくなってくる。
結局、潤と和也は、和也の大学の最寄りのバス停で一緒に下車することにした。
バスから降りて外の風に当たると、和也が大きく深呼吸をした。
そのまま、バス停のベンチに潤は和也を座らせて、自分も隣に腰掛ける。
「顔色、だいぶ赤みが戻ってきたな。元々白いからわかりにくいけど」
潤がそういうと、和也は、そうかな？と自分のほっぺたをなでた。
「そういえば、さっきの男性、声が翔にぃに似てたね」
「そっか。翔にぃだ！俺も誰かに似てるなと思ってたんだよね。声も似てた？俺は顔が似てると思ったんだよね」
「顔は見てないからわかんないけど。顔も似てたんだ。見たかったなー」
潤は先程の男性と、兄の翔の顔が似てたことにやっと気づいて、頭がスッキリした気がした。
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千智(プロフ) - エミーノさん» お褒めいただきありがとうございます。renさんの作品の雰囲気と、Stillがうまく融合できたらいいなぁと思いながら書いてます。 (2021年3月6日 22時) (
レス) id: 5441d66b3a (このIDを非表示/違反報告)
千智(プロフ) - なみさん» 以前、Stillは番外編もたくさん書いたから、もう書くことない、なんて言っていた私ですが、また書いちゃいました。Stillの和くんたち、やっぱりまだ書きたい場面たくさんわいてきて。renさんとコラボできたおかげですね。需要があればもっと書きたい気持ちでいっぱい。 (2021年3月6日 22時) (レス) id: 5441d66b3a (このIDを非表示/違反報告)
なみ(プロフ) - 大好きなstill...が動き出した事、ありがとうございます！楽しみにしています！ (2021年3月6日 19時) (レス) id: d3553e1c3d (このIDを非表示/違反報告)
エミーノ(プロフ) - 千智さん、そうなんですね〜、すごいなあ！ほんと新鮮でした。お二人とも文才があるから、こうやってコラボ作品のトーンを揃えていくんですね！ますます続きも楽しみです。 (2021年3月5日 22時) (レス) id: 0d7547df4a (このIDを非表示/違反報告)
千智(プロフ) - エミーノさん» いらっしゃいませ。スピンオフ、今日公開した1を書いたのは私です〜^_^ 私の作品は一人称ばかりでしたから、三人称で書くと違って見えましたかね？なんか嬉しいです。 (2021年3月5日 22時) (レス) id: 7013b25d47 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：千智×ren
x他1人
作成日時：2021年2月28日 21時
