鬼神転生【呪術廻戦】 (ページ3)

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3.“宝刀·梅咲花” ページ3

母上は私に刀をくれた。

その名は“宝刀·梅咲花‹ﾊﾞｲｻｲｶ›”

鞘は黒く、光を反射しより一層その存在が引き立つ。

手で持つ部分には紅い布が薄く巻かれている。

刀を抜いて刀身を見ると、千年前から存在していたとは思えない程錆一つない美しい銀色であった。

少し傾けると、ちりんと大きな鈴が音を奏でた。

かつて梅桃姫‹ﾕｽﾗﾋﾒ›の夫が丹精込めて作った刀。

他者を傷つけるためではなく、守るために贈った物だ。

「梅桃姫様はその刀で人に害を及ぼす邪気、悪霊、呪いを絶ち切ったのよ」

母は優しい声で言った。

私は目を瞑り、前世……梅桃姫の記憶を辿った。

あれはたしか、刀を貰った時の事、

「貴方が………私の為に……?」

美しく光る刀身に映った私と目が合った。

綺麗。最初に思ったことはこれだ。

「初めてだけれど……気に入ってくれたかな…?」

不安そうに視線を迷わせる。

「とっても素敵ね、有難う」

目を細め、くすくすと笑った。

すると彼の表情はみるみる明るくなり、謝らないで

しだれ桜の下で、二人仲良くで笑った。

あの時と同じ、美しい刀身は変わらないままだ。

前世の娘達やその後の跡継ぎ達が、丁寧に磨いてくれていたようだ。

『母上、あの頃と変わりませんよ。この刀は。』

嗚呼。

懐かしくて、恋しくて、それでも幸せで、涙が溢れた。

止めどなく、ポロポロと宝石のような雫が零れ落ちる。

「………よかったわぁ…貴方が産まれてから、ずぅっと見せたかったのよ。」

私の涙をハンカチで拭い、しっかり目線を合わせて言った。

「一つ、一つ提案があるんだけど⎯⎯⎯⎯⎯ 」