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ep.128 ページ31

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「俺の彼女だぜ、ハリー。可愛すぎてついつい見惚れるのもわかるけどな、ほどほどにしといてくれよ」
「その女のどこが魅力的なんだ!?死喰い人で、君を魔法で操って__」

ハリーは声を荒らげたが、バン!という音で言葉を途切れさせた。
Aがテーブルを叩いた音だった。
ダイニングにいた全員の目が二人の方を向き、シリウスは椅子から腰を浮かせて右手で杖を触っている。

「いい加減にして!例のあの人が復活したのも、セドリックが殺されたのも、あなたが変な夢を見るのも、私のせいじゃない!!八つ当たりしないで!!」
「誰がいつ君のせいにした!?僕は君が裏切り者だから見張ってるんだ、いつ騎士団のみんなを殺すかわからないから!」
「私がいつ裏切ったっていうの!?妄想もいい加減に__」

「君は母親と連絡を取ってる!」

Aはひゅっと息を呑んだ。
勝ち誇ったような顔をするハリーと目を見開いたまま震えるAを交互に見て、フレッドはいてもたってもいられず彼女を抱きしめた。

「……一方的に、手紙が届いただけよ……」
「誰が証明できる?いちいち丁寧に手紙を開けて中身を読んでから燃やしてたくせに!」

ジョージが黙ってハリーの腕を掴んで椅子に座らせると、ハリーはそこで初めて部屋の中をぐるりと見渡した。
モリーは今にも失神しそうになっているし、ジニーは泣いている。
そして最後にフレッドにしがみついて涙を流すAを見たとき、ハリーはこの女をめちゃくちゃにしてやりたいという衝動に駆られた。
"やれ"という声が聞こえたような気がして、ハリーは頭を捩った。

「俺のことが心配ならまたリーマスやムーディにでも見てもらえばいい。」

フレッドがAの髪を撫でながら静かに言うと、ハリーはぐっと言葉に詰まって厨房を出ていった。
「ハリーの言葉が本当なら____」とシリウスはAを睨みつけた。

「本当に、私があの人の手紙に返事したことも私からなにか送ったことも、一度もないわ」

鼻声で訴えるAにシリウスは唸り、厨房の奥の部屋へ消えていった。
ジニーとAが鼻を啜る音だけが満ちた厨房に、やっと我に返ったモリーの無理やりな明るい声が響いた。

「さあ、朝食を食べ終わったら病院に行く準備をしましょう___さっきビルから、お父さまがお目覚めになったって知らせが来たのよ」

ジニーはほっと安堵の息を漏らし、自分とAの部屋に荷物を取りに行った。

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くろみ(プロフ) - こんにちは♡お知らせ見てpixivすぐダウンロードしてしまいました(笑)!この作品大好きなので読んでみたら確かに文章が所々違っていて新しく読み始めた気分です♡pixivの方も楽しみにしております🥺 (5月12日 16時) (レス) id: ad8712394d (このIDを非表示/違反報告)
マニ。(プロフ) - ちとせさん» ✉️。こんにちは!とても面白いです!もしよろしければ一緒にボードで会話したいのですが嫌じゃなければ💦、これからも更新応援します💝 (2月8日 12時) (レス) id: b32654e3a5 (このIDを非表示/違反報告)
ちとせ(プロフ) - くろみさん» ただいまです〜♡お互いもうすぐスタジオツアーでしょうか!?全力で楽しみましょうね〜〜🪄︎︎✨ (10月30日 23時) (レス) id: eeb6bd2221 (このIDを非表示/違反報告)
ちとせ(プロフ) - お返事遅くなりすみません(>_<)長い間お待たせしました!完結まで見守っていただけたら嬉しいです♡ (10月30日 23時) (レス) id: eeb6bd2221 (このIDを非表示/違反報告)
ちとせ(プロフ) - ダリアさん» ありがとうございます、励みになりました!どうぞ完結までお付き合いください♡お返事遅くなりすみませんでした(>_<)💦 (10月30日 23時) (レス) @page8 id: eeb6bd2221 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ちとせ | 作成日時:2023年2月20日 15時

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