Rewrite the stars (ページ47)

今日:13 hit、昨日:83 hit、合計:83,729 hit

ep.45 ページ47

.

「羊皮紙二巻きって何をどうしたら埋まるの？ハーマイオニー、今どれくらい？」
「あら、私はもう終わったわよ。今は古代ルーン文字学のレポートをしているところ＿＿アー……A、その字の大きさだと追加で罰則かも」
「やっぱり？私もそう思ってた」

Aのテンションは最低を極めていた。
あっという間にいちばん好きな授業にまで上り詰めた闇の魔術に対する防衛術の教師が今日は代理でスネイプだったうえ、グリフィンドールにだけとんでもない長さのレポートが課されたのだ。
人狼について書けと言われても、教科書の内容だけでは十行書けるかも怪しいくらいで、Aはさっそく行き詰まっていた。
既にぎっしりと埋まっているハーマイオニーのレポートにこっそり手を伸ばしても叩き落とされ、Aは泣く泣く魔法生物の棚に本を探しに行くしかなかった。

「どんな本をお探しだい、真面目ちゃん？」
「人狼について書いてある本……あとレポートの文字数の稼ぎ方の本とかがあればすごーく有難いんだけど」

ぬっと本棚の後ろから現れたのに驚かず、棚に並ぶ背表紙を指先でなぞりながら淡々と答えるAにフレッドは面白くなさそうな顔をして、自分よりも随分下の方にある小さな頭に顎を乗せた。
Aは完璧に無視を決め込むつもりらしく、フレッドをそのままに杖で大量に引き出した本をめくっては戻し、めくっては戻しを繰り返していた。

「どうして私がどこにいるかいつもわかるの？」
「んー、愛の導き？」
「……企業秘密ってわけね」

ちょうどいい本が見つかったのか、腰を曲げてフレッドと本棚の間から抜け出したAはハーマイオニーのいるテーブルに戻り、フレッドはちょうど練習が終わったのであろうセドリックと入れ違いに図書室を出て競技場へ向かった。
もちろん、黒とイエローのローブを睨みつけるのは忘れずに。

「ねえ、ハーマイオニーお願い、締めの文だけ」
「だめ」
「何も思いつか＿＿やっぱりひらめいたかも」

相変わらず斜め前に座るセドリックと目が合い、その視線が指すままに羊皮紙に目を落とすと、薄らと文字が浮かび上がるのが見えた。
消えないうちにと急いでそれをなぞると、文句の付けようのない(たぶん)レポートが出来上がった。

ハーマイオニーが自分の他の課題に集中しているのを確認して、Aは鳥の形に折った羊皮紙を飛ばした

＜あなたって天才だわ、最高＞

セドリックは口元を隠すようにローブを引き上げ、頭を抱えた。