Rewrite the stars (ページ30)

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ep.29 ページ30

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「最悪、最悪、最悪……！」

Aは酷い自己嫌悪に苛まれながら荷造りをしていた。
ホグワーツが閉鎖されるのだ。
日用品や文房具、杖をトランクにしまい、教科書に取りかかる。
闇の魔術に対する防衛術の教科書が目に入り、Aは頭がカッと熱くなるのを感じ、トランクを殴り付けるかのように白い歯を見せて笑うロックハートの顔面を叩きつけた。
何度も何度も本を殴りつけ、しまいには膝に顔を埋めて泣き出してしまった。
ラベンダーとパーバティは既に荷造りを終えて談話室にいる。

「ジニー……」

髪をくしゃくしゃに握りしめて天を仰ぐと、燃えるような赤毛が目の前をチラついた。

「……女子寮には入れないはずでしょう」
「入れないったって階段が滑り台になるだけだぜ？」

柔らかく笑ったフレッドは、泣き腫らして真っ赤になったAの目元を優しく撫でた。

「ジニーが攫われたのは、おまえのせいじゃないよ」
「まあ強いて言うならパーシーが悪い」
「女子寮にかけられた呪いを変えるべきね、二人も男が入ってきた。恐ろしいわ」

遅れて滑り台をあがってきたジョージに鼻をすすりながら悪態をつくAは、泣き疲れたせいか言葉にいつものような生気がなく、ジョージはそっと頭を撫でてやった。

*

「秘密の部屋が閉じられたって！ジニー・ウィーズリーが帰ってきた！あとさっきマンドレイク薬が出来上がったから石になった連中も元に戻るってさ！」

数分後に続いて上がってきたリーに、三人は言葉を失った。
そして顔を見合せ、数秒後、大声を出して笑った。
聞くところによると、ハリーとロンがまたしてもやってくれたらしい。
さっきまでずっと泣いていたのはなんだったのか、こんなにすぐに呆気なく＿本人たちからすれば全くもって呆気なくなんてなかったはずだが＿解決してしまうなんて。
さっきまでとは全く違う温かい涙を流し、トランクをひっくり返したAは三人を置いて滑り台を駆け下りた。

「A！」
「ジニー！ああ、もう本当に…」

たくさんの人に囲まれていたジニーは晴れやかな顔で、人の輪を崩してAの胸元に飛び込んだ。
Aは生きている柔らかな人間の感触を確かめるようにジニーの顔に頬を擦り寄せ、何度も、いきてるとうわ言のように呟いた。

「心配かけてごめんなさい」

勢いよく首を振ると、ジニーは細めた目から涙を溢れさせた。
期末テスト免除にロックハートの解雇というおまけつきで、秘密の部屋騒動は幕を閉じたのだった。