The Crow's Dream 4 (ページ33)

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ジャックページ33

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your side

「お好きな独房にひとりずつお入りください」

お決まりのアナウンス。
チシヤが「クラブだよ」と念を押したあと、なんの感慨もなしに入っていく。
慣れたものだ、私はまだ少し緊張するのに。
呆れていると、後ろから声がして驚いた。

「……マツシタ、さん」

「キミ、騙されてるじゃないのか？あの男信用ならないけど」

掻き乱してくる。
本当に私を思って言ってくれてるなら勘違いもいい所だ、こんな胡散気な男を信じて。
見る目がないですね。そう言うと、プライドが高いのかぶすくれた顔をした。

「…君たちがいつ死ぬか、見ものだよ。」

横から加勢してきたのはバンダ。
彼からの同意を得て嬉しそうなマツシタに可哀想な人だ、と思いながら微笑んだ。

「私たちは大丈夫。…それより自分たちの心配をしたらどうですか？どちらかがジャックの可能性だって無きにしも非ず、でしょう？」

マツシタが強ばった顔を作り、一瞬で飛散する。
それ程までにバンダを信じているということか。
鼻を鳴らして独房へ入ったマツシタの背中を追いかけながら、私は微かな違和感を覚えた。

「どうしたんだい？」

顔を覗き込んでくるバンダを追い払うように自分の独房に入りながら深い思考の渦に飲まれる。
…あれほどまでにバンダを信用する原因は、何？
彼らには一体何があったの？
ゲームが始まる前、何が……？
ダメだ。何も見ていなかった。

……いや、違う。
今私が考えるべきことは…。

頭の中がクリアになっていく。

彼らに何かがあった可能性を追求することじゃない。
彼らに特別な事が何も無かったとしたら。
…注目すべきはバンダじゃなくてマツシタかもしれない、あんな不審な男を短期間で信じてしまう、そんなに馬鹿には見えないあの男を。

それでは、お答えください。

そんな音声ガイダンスに、ひとつの疑いもなく「クラブ」と返した。
勿論、首輪は爆発しなかった。