産んでない ページ46
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マイナス2を被って、マイナス9となったクニエダがフッと笑う。
彼女も自分と同じ立場だ、後がない。
絶望したダイモンが「嫌だ嫌だ」と泣き叫ぶ。
そりゃあ先程の2人を見ていればそうなるだろう。
硫酸が上から落ちてきて体から煙が立つ。
「…見てらんないわね」
格好も表情も口数も煩い彼女が離脱したせいか、どこかがらんどうとなったこの部屋でクニエダが溜息をつき目を伏せた。
「あと一歩で死ぬ人間がそんなこと考えてたなんて。」
バンダ君と同じ、サイコパスかしら?
茶化すように笑った彼女の声。
「命の価値は平等じゃない、なんて言っちゃって。最後は公正公平に負けて死んじゃったわ」
黙るクズリュウ。
「貴方も思ってる?命の価値は、本当に平等かしら。」
「…君たちは、世界の裏側を自分の目で見たことがあるか」
急な問いかけ。
目を細めた自分に、「わずか数円の下痢止めが手に入らず死んでいく乳児。親の借金を肩代わりするために売られる幼女。貧困の再生産から逃れられない人々」
どれもが、とても平等とは言えない事象だ。
生まれる国が違うだけで、こんなにも「平等」の言葉の重さが変わってくる。
「まぁ、平等な国に産まれても娘を虐待する親も居るけどね」
皮肉げにクニエダを見ると、剣呑な顔をした彼女が「娘だなんて」と鼻で笑った。
「…まあ、よくある話だ。どうしても娘が愛せず、手をあげてしまう。」
クズリュウが言葉を受け継いだ。
弁護士として許せない部分があるのか、軽蔑するように目を細める。
「自分が身勝手に産んでおいてな。」
「産んでないわよ」
眉を顰める。
どういうことだ、と言外に問いかけたクズリュウ。
ゆらりと顔を上げたクニエダの顔は、殺気立っていた。
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みりん(プロフ) - がんもえさん» クイナとアンのペア、すごく好きです(;;) ただ、スペードのキングのゲーム後にクイナに冷たい態度を取っているので…仲直り出来るのか( ›_‹ ) (2023年2月7日 0時) (レス) id: 54bed94868 (このIDを非表示/違反報告)
みりん(プロフ) - おむらいすさん» お母さんと交代してもらいました!暫くチシヤのターンですのでお付き合い下さい( ◜ᴗ¯)🤝(¯ᴗ◝ ) (2023年2月7日 0時) (レス) id: 54bed94868 (このIDを非表示/違反報告)
みりん(プロフ) - らむねさん» 実は、参加しないのです!やっぱりこのゲームは残酷なので、2人とも生き残るのは違うかなと¯֊¯⋆꙳ (2023年2月7日 0時) (レス) id: 54bed94868 (このIDを非表示/違反報告)
がんもえ(プロフ) - 別のゲーム会場で誰かと会うのかな!クイナとかアンに会って欲しい……… (2023年2月6日 23時) (レス) @page41 id: 828bc06f55 (このIDを非表示/違反報告)
みりん(プロフ) - dさん» そうなんですよ…( -᷅ ̫̈-᷄ )𐑲𐑲𐑲 チシヤと鉢合わせてしまうのか、ご期待ください✨️ (2023年2月6日 23時) (レス) id: 54bed94868 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みりん | 作成日時:2023年2月1日 23時