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パンケーキ ページ1





your side




「ほら、出来たわよ〜」


美味しそうなホカホカのパンケーキ。
メープルシロップがかかったそれを一瞥して、私はご飯を口の中に入れた。


「今日は2枚にしてみたわ、食べきれなかったでしょう?」


髪の毛を一纏めにした母親が、私をスルーして美味しそうなそれを置く。
目を輝かせた妹は目の前のパンケーキに喜びフォークを握った。


「わぁ〜!でもカスミ、テスト80点だったよ?」
「いいのよ、でも次は100点を取るのよ?分かった?」
「はぁい!」


何も分かってなさそうなカスミが大喜びでパンケーキにフォークを突き立てる。
私をまるで見えていない者のように振る舞う母親は、「今週末パパとお花畑いこっか!」と目を輝かせる。
当然そこに私はいない。

楽しくて仕方ないんだろうな。

別に何も思わないけれど。


自分に与えられなかった幸せを他の人が受け取っていても、その幸せを自分は知らないから羨みようもない。
きっと私みたいな地獄を知らないで生きていくんだろうな、とカスミを見ながら思った。


「食べる?」


無邪気な目で聞いてくるカスミ。
途端に機嫌が悪くなった母親に、ほぉら余計なことするから。と心の中で毒づく。

こういうのは全部私に回ってくるから余計なことをしないで欲しい。

口に出さないのは、言葉にすればもっと酷くなるのを知っているから。


「要らない」


冷たく言えば、カスミは何も思ってなさそうな顔で全て平らげる。


「そうよ、ママはカスミのために作ったんだからね。…あぁ、可愛い子」


昨日から深夜オペで帰ってきていない父親が居たらどうだっただろう。
…彼も私を空気のように扱うから2倍で居心地が悪いだけで。


「ごちそうさま」


味気ないご飯を食べ切り台所に流してスポンジで汚れを取る。
自分は居候のようなモノだから、と考えていたら少しは気が楽になる。


玄関を空けて冷たい空気が流れ込み、思わずマフラーを巻き付けた。

行ってらっしゃいなんて、一度も言われたことは無い。

ヘビ→



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みりん(プロフ) - がんもえさん» クイナとアンのペア、すごく好きです(;;) ただ、スペードのキングのゲーム後にクイナに冷たい態度を取っているので…仲直り出来るのか( ›_‹ ) (2023年2月7日 0時) (レス) id: 54bed94868 (このIDを非表示/違反報告)
みりん(プロフ) - おむらいすさん» お母さんと交代してもらいました!暫くチシヤのターンですのでお付き合い下さい( ◜ᴗ¯)🤝(¯ᴗ◝ ) (2023年2月7日 0時) (レス) id: 54bed94868 (このIDを非表示/違反報告)
みりん(プロフ) - らむねさん» 実は、参加しないのです!やっぱりこのゲームは残酷なので、2人とも生き残るのは違うかなと¯֊¯⋆꙳ (2023年2月7日 0時) (レス) id: 54bed94868 (このIDを非表示/違反報告)
がんもえ(プロフ) - 別のゲーム会場で誰かと会うのかな!クイナとかアンに会って欲しい……… (2023年2月6日 23時) (レス) @page41 id: 828bc06f55 (このIDを非表示/違反報告)
みりん(プロフ) - dさん» そうなんですよ…( -᷅ ̫̈-᷄ )𐑲𐑲𐑲 チシヤと鉢合わせてしまうのか、ご期待ください✨️ (2023年2月6日 23時) (レス) id: 54bed94868 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:みりん | 作成日時:2023年2月1日 23時

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