小さな世界の中では、“偶然”なんてない【jw】 (ページ12)

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親と愛と突然とページ12

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　【はい、これで君は自由よ

　どこかに逃げなきゃ!】

　「なんで…?」

　【あなた追われてるのよ!!

　車の真ん前から突っ込んできた相手、ソイツ、明らかにあなたを狙ってた!】

　「けど、オトンとオカンが…」

　【今は逃げることに専念して!!】

後ろから一人の走る足音が聞こえる

　「…やっと見つけた」

その人は天パで高身長で、とても優しい顔だったけれど、

その人の笑う顔は、明るくて、眩しかったけど

どうしようもなく怖かった

　「それに“裏切り者の精霊”もいるじゃんか

　これはまた“神”に喜んでもらえるかな…?」

　「ぃや…っ」

　【そう思うなら早くその足を動かして!】

俺の脚は勝手に動きだす

その人から離れて行くように

けれど、俺の速さでは、その人の速さに勝てるわけがない

すぐに距離は縮められていく

　「ハァ…ハァ…っ!」

　【どうしたらいいのっ!?

　タカ、森林で相手を惑わして!】

言われた通り、俺は生い茂った森林の中に入る

身長的に高い植物たちを飛び越えて行くのはつらいけれど、

今はあの人に捕まりたくないという気持ちでいっぱいだった

しばらく複雑に走って、なんとか相手を惑わすことができた

　【アイツ…しつこいわね】

　「なんでおれのこと、タカってよぶの?」

　【今それ聞く!!?

　ただ私はあなたの主人になっただけ

　だから名前もあなたが一度も呼ばれたことのない名前で呼ぶのは当たり前よ】

　「おれはなんてよべばいい?」

　【う～ん、私の名前はVeleno(ヴェレーノ)

　ヴェレーノって呼んで】

　「ぶ、ぶぇれ…」

　【あぁ、まだ言えないのね

　じゃああなたが言えるようになったら言っていいよ】

ツンツンしててドSだけど、実はとっても優しいブェレーノ

俺はそんな彼女がとても見ていて面白い

けどそんな束の間の幸せな時間なんてすぐに消えた

　「みぃつけた」

あの人が約100m先にいた