時計仕掛けの中で【Fischer's】

世界寿命まであと24日【Peketan】 ページ7

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『世界滅亡まで、残り二十四日です。
皆さん、残された時間を有意義に過ごしましょう。』


「あと二十四日だってさ。」


頬杖をついてテレビを見つめるぺけたん。


その視線の先には笑顔のニュースキャスター。


朗らかな笑みを浮かべているが
発しているのは随分と不穏な言葉。


……あと二十五日か。


意外と差し迫っているタイムリミットに驚く。


『あっという間だね。』


ぺけたんの隣に座り込んでお茶を飲む。


汗をかいたグラスを煽ればカランと
氷のぶつかる音が鳴る。


「俺ら、大人になれないのかぁー。」


伸びをしてゆっくりと私に体を預ける。


彼の体温が私に伝わって、ゆっくりと混ざっていく。


『良いことなのか、悪いことなのか、わかんないね。』


私がそう笑えば「そーだねー。」なんて間延びした
声で返事をする。


『……寂しい？』


グラスを置いて、視線だけを移し彼に尋ねると
彼は微笑んで私の手を取った。


「んーん、反対。
死ぬときも一緒なんだよ？」


嬉しそうに私の手の甲にキスを落として
微笑むぺけたんに、私も微笑んだ。


『ふふっ、私もおんなじ。』


「そっか。」


『うん。』


少し骨張った彼の手を握る。


蝉の鳴き声が鼓膜を揺らす。


少しだけ、暑いこの距離感が愛しい。


大人になれない私たちは
この町の中でゆっくりと朽ちていく。


＊

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