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少し迷いながら勇気を出して声をかけようとした瞬間、その男の人が静かに微笑んだ。
それは先程の笑みとは違って、とても自然な笑みだった。
失礼します と軽く会釈をして立ち去ろうもする男性。
ヒラリと真っ白な白衣をマントのように翻し颯爽と歩くその後ろ姿がどんどん私から遠のいていく。
その背中に 待って と小さく声が零れ落ちた。
一言、それを呟いてしまうと、もう終わりだった。
一気に心が悲鳴を上げだす。
...待ってよ。
ねぇ、待って。
待ってったらっ...
お願いだから、行かないでっ...
「上杉くんっ...!!」
病院だと言うことも忘れて思わず叫んだ。
それにギョッとしたような表情でこちらを振り向く彼。
その形相は赤い炎を身に纏うあの少年が抜けた言動をした時に見られる、あの形相だった。
それが懐かしくて、懐かしくて...声を上げて笑う。
ああ、そうだ。
やっぱり、彼は____________
彼が私に手を伸ばしたのを目にしたのを最後に、私はまた意識を手放した_________
**·
_____________また、夢を見た。
あの絵の中にいた内のこの間とは違う1人の男の子の夢。
キラリとあの青く見えるほど綺麗な瞳を鋭く光らせる彼
ふっと口角を上げ、柔らかな表情で微笑む彼
呆れたような、馬鹿にしたような表情をし、鼻で笑う彼
照れたように頬を微かに赤らめ、そっぽを向いてしまう彼
必死な表情で手をさし伸ばしてくれる彼...
一見冷たく見える彼の優しさが脳裏をよぎる。
『いざとなったら、おまえは俺が守るから。』
『男には、メンツってもんがあるんだよ。』
『お見舞い、ありがと、天使さん。』
『俺、おまえに心配かけてる?』
『俺は男だ、茨の道を行く。』
クールでいつも落ち着いていて"冷静沈着"そんな言葉がピッタリな彼。
その持ち前の冷静さ、そして素早い頭の回転、論理性、数学、医療の豊富な知識で私たちを助けてくれた。
その一方で我らがリーダーさんとはまるで水と油のような関係でいつも言い争う、短気な一面も持つ男の子。
そんな青い炎を持つ数学の天才...
"上杉和典"
______________それが、彼の名前だ。
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小四 - 感動しちゃいました。 (2022年4月30日 8時) (レス) @page8 id: a6b1297b7c (このIDを非表示/違反報告)
ゆいゆい - ゆうひ「俺お前のこと好きだよ」 忍「 ちゃんと砂原の声聞こえたんだよかった」 翼「 俺としては必ずキメるつもりなんだ」 砂原「 俺、声聞きたいって言ったろ。聞かせてよ。ひと言でいいから。」 ゆうひ忍翼の3人は恋する図書館砂原は コンビニ仮面に乗っています (2021年4月21日 21時) (レス) id: be27a6782a (このIDを非表示/違反報告)
morosu武(プロフ) - 「俺、才能なんてないよ。いろいろできるって思われてるみたいだけど、それって全部、努カの結果だから。」ハ一ト虫の翼の言葉です!がんぱってください! (2020年10月18日 21時) (レス) id: a42120e652 (このIDを非表示/違反報告)
セダム(プロフ) - morosu武さん» 似てますか!?ありがとうございます!!いや、一応意識してアーヤちゃんに似せるように書いていたんですけど、書いているうちに あれ?なんかアーヤに似てない、かも…… と不安になっていたので、嬉しいです*何とか早く仕上げていきたいです。頑張ります! (2020年10月17日 20時) (レス) id: 188dd23746 (このIDを非表示/違反報告)
セダム(プロフ) - リリーさん» やーっと小塚くんまできました〜!いや、ほんとに進みが遅い。愕然としております。翼と忍、早く登場させたいなぁ……(遠い目)もう段々寒くなってきましたので、リリーさんも体調等お気をつけ下さい。毎回コメントありがとうございます* (2020年10月17日 20時) (レス) id: 188dd23746 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:セダム | 作成日時:2019年7月31日 23時