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「おはよー!!」
にこにこと上機嫌で笑うのは弟の奈津。
今、小学3年生。
一個違いとかだと腹を立てることも多いらしいけれど、私たちは5歳と中々離れているためそんなことも無く、私はとてもこいつを可愛がっている。
で、こいつも私にかなり懐いていて仲は割といいと思う。
...まぁ、ちょっと最近生意気になってきたけどね。
ドスドスとわざと足音を鳴らすように歩きながら、私の隣の席に座った。
「お母さん、俺、牛乳っ!」
そう叫ぶと、満面の笑みを浮かべながら私を見た。
「姉ちゃん、今日、約束忘れてないよね?
俺、すっげぇ楽しみっ!」
その言葉に一瞬 何だったっけ? と思案した後、ギクリと肩を揺らした。
...やば、忘れてた...
あたふたとし始める私を見て、奈津が笑みを消して、しらっとした視線を送ってくる。
「まさか、本当に忘れてたの?」
「ま、まさか!!忘れるわけ、ないじゃな...ごめん。」
正直に謝ると盛大な溜息を零され、やれやれと首を振られた。
「ま、最初っから姉ちゃんのことだから忘れてるだろうとは思っていたよ。」
...ね、生意気でしょ?
おまけに、言い返したいのに図星だから何も言えない、って言うのがちょっと腹立つ。
むーっとしながら麦茶を一気飲みした。
**·
「行ってきまーす!」
「...行ってきます。」
真反対のテンションのまま家を出て、自転車に乗る。
「姉ちゃん!俺、めっちゃ楽しみだよ!!」
サッカーのユニフォームを見に纏い、瞳をキラキラとさせそう言う奈津に目を細めてからふぅっと溜息を零した。
そりゃ、あんたは楽しみかもしれないけど、私は全然楽しみなんかじゃないよ。
だって私、サッカー好きじゃないもん。
大体何でこんなにクソ暑い中、外にずっといなきゃいけないのよ。日に焼けるし、最悪。
そう心の中でグチグチと言う。
なぜ心の中でかって、それはこんなにも楽しげな弟を見てそんなこと言えないからよ。
私、そんなに性格ひん曲がってない。
それでもにまにまと笑みを浮かべ、明らかにルンルンしている弟に何だかこっちまで嬉しくなる。
ガーッと自転車を漕ぎながら私たちは秀明のグラウンドに向かった。
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小四 - 感動しちゃいました。 (2022年4月30日 8時) (レス) @page8 id: a6b1297b7c (このIDを非表示/違反報告)
ゆいゆい - ゆうひ「俺お前のこと好きだよ」 忍「 ちゃんと砂原の声聞こえたんだよかった」 翼「 俺としては必ずキメるつもりなんだ」 砂原「 俺、声聞きたいって言ったろ。聞かせてよ。ひと言でいいから。」 ゆうひ忍翼の3人は恋する図書館砂原は コンビニ仮面に乗っています (2021年4月21日 21時) (レス) id: be27a6782a (このIDを非表示/違反報告)
morosu武(プロフ) - 「俺、才能なんてないよ。いろいろできるって思われてるみたいだけど、それって全部、努カの結果だから。」ハ一ト虫の翼の言葉です!がんぱってください! (2020年10月18日 21時) (レス) id: a42120e652 (このIDを非表示/違反報告)
セダム(プロフ) - morosu武さん» 似てますか!?ありがとうございます!!いや、一応意識してアーヤちゃんに似せるように書いていたんですけど、書いているうちに あれ?なんかアーヤに似てない、かも…… と不安になっていたので、嬉しいです*何とか早く仕上げていきたいです。頑張ります! (2020年10月17日 20時) (レス) id: 188dd23746 (このIDを非表示/違反報告)
セダム(プロフ) - リリーさん» やーっと小塚くんまできました〜!いや、ほんとに進みが遅い。愕然としております。翼と忍、早く登場させたいなぁ……(遠い目)もう段々寒くなってきましたので、リリーさんも体調等お気をつけ下さい。毎回コメントありがとうございます* (2020年10月17日 20時) (レス) id: 188dd23746 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:セダム | 作成日時:2019年7月31日 23時