輪廻は知っている

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「実は、以前からよく見る夢があるんです。
...とは言っても起きてしまうと、ほとんど内容、忘れてしまってるんですけど。


そこに出てくるのは大抵6人の男の子と、1人の女の子。


1度だけ、鮮明に覚えているシーンがあったので絵にも描いてみました。
その時は、2人抜けていたんですけど、何かの写真のようなもので、楽しそうに全員でピースしているものです。



それが...

恐らく、幼い頃の若武選手ではないかと思っています。」




そこまで言うと、それまで黙って私の話を聞いていた若武選手が ちょっと待って！ と手を挙げて驚いたように私を見つめた。



「なぁ、もしかして、その写真って警察署に立ってるやつか？」



その言葉に首を捻った。



警察署...？



「...ちょっとそこまでは、覚えてません。」



すみません と言いながらぺこりと頭を下げると慌てたように首をぶんぶんと横に振られる。



「いや、いいんだ。ごめんな、話の腰を折って。続けて。」



手を差し出され、そう促された私は出来るだけ簡単に分かりやすく伝えようと一瞬思案した後、また口を開いた。



「えっと...夢の中で出てきた名前、私なりにその描いた絵に当てはめてみたんです。
その中のど真ん中に立って、女の子の隣で満面の笑みを浮かべる男の子...
それが私の予想では " わかたけ " と言う少年でした。

若武、何ていう名字、結構珍しいと思いますし、今まで気づかなかったけれど、若武選手にとっても似ていて...。
その黒髪も、大きな瞳とかも。



...あの、心当たり、ありませんか？



ただの夢とは、思えないんです。
今、倒れてから見た夢、まるで、記憶がフラッシュバックするように頭の中に流れてきたんです。


例えば、"動くポストに要注意だ"とか...」



「動くポストぉ！？」



今度は素っ頓狂な声を上げ、勢い良く椅子から立ち上がった若武選手にビクリと肩を揺らした。


目をぱちくりさせる私も気にせず、動揺したように、うろうろとその辺を動き回る若武選手が次第に犬のように見えてきて思わず小さく笑う。



何か...面白い。



そのうち、冷静になったのかストンと私の前に座り真面目な表情を浮かべた若武選手。
それを見て私も慌てて頬を引き締め、じっと若武選手を見つめた。



一体何を言われるんだろう...



何だかドキドキしていると、若武選手が表情を変えて困ったように頬を掻いたんだ。



「...そう言えば、君、名前なんて言うの？」





...へ？




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