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放課後、秀明がなかったから文芸部に出た。
ついこの間まで中間テストだったから部活に出れたのは結構久しぶり。
でも中々今書いている小説のストーリーが思い浮かばなくて悪戦苦闘しつつも、下校時間になってしまって断念したんだ。
そろそろストーリーだけでも決めておかないと特別顧問様から雷が落ちる...。
悠飛の怒っているような、呆れているような顔を思い浮かべて小さく溜息を零した。
とぼとぼと玄関に向かうと、ざあっと激しい雨の音が聞こえてきて、思わず顔を顰めた。
うわぁ、絶対これ土砂降りだ。
帰るのちょっと大変そう...。
ついてないな なんて呟きながら中靴からローファーに履き替える。
そうして傘立ての方に向かうと、1人の男子生徒が入口に突っ立って外の様子を伺っていたんだ。
...どうしたんだろ、傘、忘れたのかな?
けど、朝も雨降ってたのにその時はどうしたんだろう。
思わず首を傾げながら傘を手に取り、チラリとその男の子の横顔を確認。
...ん?
大和、くん?
思わぬ人物にちょっと目を見開いた。
ぽけっと忍に見られていたら間違いなく間抜け面だと評されるであろう顔をしながら、大和くんを見つめる。
けれど、大和くんはそんな私には全く気付かず、どこか困ったようにしながらも、決意したように顔を上げると鞄を頭上に掲げてその土砂降りの中に突っ込んでいこうとしたんだ。
それを見て、はっと我に返った私は慌ててその腕を掴んだ。
急に腕を掴まれ、驚いたような表情を浮かべる彼にばっと傘を差し出す。
「あの...入ってく?」
「...え?」
心なしか雨が少し弱まった気がした。
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セダム(プロフ) - むっちゃんさん» わー、ありがとうございます!!更新遅くてごめんなさい!続きも楽しんで読んでもらえればと思います! (2021年12月24日 21時) (レス) @page44 id: 188dd23746 (このIDを非表示/違反報告)
むっちゃん - 続きが気になって気になってたまらなく、気づいたら読み終わってました。最高です!! (2021年11月25日 22時) (レス) @page39 id: fa31dfe0b6 (このIDを非表示/違反報告)
セダム(プロフ) - 萸衣さん» あちらの方も読んでくださりありがとうございます!!どちらも更新不定期ですが更新した時は読んでくれると嬉しいです。頑張ります! (2021年7月31日 19時) (レス) id: 188dd23746 (このIDを非表示/違反報告)
萸衣 - pixivでもセダムさんの作品読ませていただいています。とても面白いのせこれからも更新がんばってください。 (2021年3月29日 20時) (レス) id: 1e603ecb86 (このIDを非表示/違反報告)
セダム(プロフ) - 千香さん» 大丈夫ですよ(^^)消しときますね! (2019年8月26日 22時) (レス) id: 188dd23746 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:セダム | 作成日時:2019年4月20日 19時