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「では諸君、乾杯っ!」
そんな若武の言葉にみんなで 乾杯っ! と叫び、ジュースの入った紙コップを軽く合わせる。
「にしても、すっげえな此処。
めっちゃ桜あんじゃん。
流石黒木。よく知ってたな。」
感心したように辺りを見回す若武にみんなで大きく頷いた。
実は此処、黒木くんが教えてくれたんだ。
だって、若武ったら自分からお花見に行こうって言った後、 ところで花見ってどこで出来んだ? って言ったんだもの。
私たちはもうあんぐり。
何故、お花見に行こうって言ったのよ...。
そんな若武に呆れながら小さく苦笑いを浮かべた黒木くんが じゃあ、俺のオススメのところ行かない? って言ってくれたんだ。
そして、実際、今日此処に来てみて私たちは瞳をキラキラ!
おおっ!って思わず唸ったもの。
それだけ立派な桜の木が沢山並んでいたんだ。
おまけにそれが一斉に咲き誇っているんだもの。
どこを見ても桜、桜、桜っ!
本当に圧巻される...。
そんな桜にほおっと小さく息をつきながらヒラヒラとどこか儚げに散ってきた桜を見てふとこの間の国語の授業を思い出した。
「...桜花散りぬる風のなごりには水なき空に波ぞ立ちける...」
「ん?なあに、それ。」
かなり小さく呟いたのに隣にいた翼には聞こえたらしく、コテっと首を傾げられる。
そんな翼の表情がどこかあどけなく見えてクスッと笑みを漏らした。
「今のは古今和歌集で紀貫之によって詠まれた歌だよ。
" 桜花散りぬる風のなごりには水なき空に波ぞ立ちける "
風で桜が散ってしまった名残りは、水のない波が立っているようです っていう意味。
もっと分かりやすく言うと、空を海、桜の花弁をその海の波だと例えているの。
桜が散って、それが風で舞うのをイメージしたんだって。
今、舞落ちてくる桜を見て、思い出したんだ。 」
この歌、授業の中でもとっても印象的だったんだよね。
だって桜を海とか波に例えるなんて想像出来なかったんだもの。
どうしてそんな歌を詠んだんだろう、って。
けど、今日ようやく分かった気がしたんだ。
上から降ってくる桜だけではなくて、すでに地面に落ちてしまった桜も風に吹かれて舞い上がる様子はまさに波のようだし、日の光を浴びて白色にも見えるその花弁は夏の煌めく海と同じくらい綺麗だったから。
こんな風に今まで感じたことなかったかはちょっと感動的だなぁ。
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セダム(プロフ) - むっちゃんさん» わー、ありがとうございます!!更新遅くてごめんなさい!続きも楽しんで読んでもらえればと思います! (2021年12月24日 21時) (レス) @page44 id: 188dd23746 (このIDを非表示/違反報告)
むっちゃん - 続きが気になって気になってたまらなく、気づいたら読み終わってました。最高です!! (2021年11月25日 22時) (レス) @page39 id: fa31dfe0b6 (このIDを非表示/違反報告)
セダム(プロフ) - 萸衣さん» あちらの方も読んでくださりありがとうございます!!どちらも更新不定期ですが更新した時は読んでくれると嬉しいです。頑張ります! (2021年7月31日 19時) (レス) id: 188dd23746 (このIDを非表示/違反報告)
萸衣 - pixivでもセダムさんの作品読ませていただいています。とても面白いのせこれからも更新がんばってください。 (2021年3月29日 20時) (レス) id: 1e603ecb86 (このIDを非表示/違反報告)
セダム(プロフ) - 千香さん» 大丈夫ですよ(^^)消しときますね! (2019年8月26日 22時) (レス) id: 188dd23746 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:セダム | 作成日時:2019年4月20日 19時