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「立花……好きだよ。本当に。だから……」
「返事、聞かせて?」
その言葉に、表情に泣きそうになった。
あぁ、気付いてるんだ、大和くんは。
私がこれから何を言おうとしているのかも、そして、私が誰を想い、誰が好きなのかも……
「……ごめんなさい。私、大和くんとはお付き合いできません」
そう言って深く頭を下げた。
……痛い。辛い。
心の悲鳴に気付かないふりをしてグッと唇を噛み締める。
……泣くな。泣いちゃ、ダメ。
私には泣く資格はないんだから。
「……頭、上げてよ立花。俺、好きな子にそんなことさせたくないよ」
カサっと足元にあった落ち葉の音を立て、ポンッとあの暑い夏の日と同じ温もりが頭に乗る。
柔らかに私の頭を撫でたそれはゆっくりと離された。
恐る恐る顔を上げると、そこにはとても柔らかな笑みの大和くんがいて。
「ありがとうな、立花。たくさん、悩んでくれたんだよな。ありがと」
……っ、どうして……
ポロリと頬を雫が伝った。
堪えなきゃと思うのに、どうしても堪えられなくて、顔が歪む。
「……私っ、私ね、嬉しかったの。大和くんに告白してもらって」
勝手に口が動く。
止められなかった。
「仲良くなりたいってずっと思ってた。大和くんはクラスの人気者で、明るくて優しくて誰とでも仲良くなれて!凄いなぁって……!尊敬、してたの。憧れてたの」
彼の温かさに惹かれていた。
真っ直ぐで春の陽射しのように穏やかで優しい君に。
「なのに、仲良くなったら意外と可愛いところもあって!猫舌だし、私のことばっかり言ってたけど大和くんだって結構百面相してたし、ちょっと抜けてるとこあるし、中々毒舌だし……!」
ちょっと遠かったその存在が身近に感じて。
距離が縮まった気がした。
「素敵な人だなって改めて思った。私なんかには勿体ないくらい素敵な人だって。でも……」
でも、心にいるのはクールビューティーでちょっぴり悪戯っ子な彼だった。
「好きになってくれて、ありがとう!大和くんと過ごした時間は本当にあっという間で、楽しくて……!たくさんの思い出をありがとう……!!」
ボロボロと揺らぐ視線の中、吐き出した。
こんなの、本当は言うべきじゃないと思う。
酷いヤツだと思う。
でも……どうしても伝えたかったの。
真っ直ぐ伝えてくれた彼には、この想いを。
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セダム(プロフ) - むっちゃんさん» わー、ありがとうございます!!更新遅くてごめんなさい!続きも楽しんで読んでもらえればと思います! (2021年12月24日 21時) (レス) @page44 id: 188dd23746 (このIDを非表示/違反報告)
むっちゃん - 続きが気になって気になってたまらなく、気づいたら読み終わってました。最高です!! (2021年11月25日 22時) (レス) @page39 id: fa31dfe0b6 (このIDを非表示/違反報告)
セダム(プロフ) - 萸衣さん» あちらの方も読んでくださりありがとうございます!!どちらも更新不定期ですが更新した時は読んでくれると嬉しいです。頑張ります! (2021年7月31日 19時) (レス) id: 188dd23746 (このIDを非表示/違反報告)
萸衣 - pixivでもセダムさんの作品読ませていただいています。とても面白いのせこれからも更新がんばってください。 (2021年3月29日 20時) (レス) id: 1e603ecb86 (このIDを非表示/違反報告)
セダム(プロフ) - 千香さん» 大丈夫ですよ(^^)消しときますね! (2019年8月26日 22時) (レス) id: 188dd23746 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:セダム | 作成日時:2019年4月20日 19時