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「なんだーびっくりしたよぉ。
もぅ、せんせー。大胆だねー。寝込みを襲うのはダメだよぉ。」



いつものあの無邪気な笑顔に戻る。



「あ、が、…。」




怖い。




声がうまく出ない。
呼吸の仕方さえ忘れてしまうほどに。
恐怖により、涙が零れ落ちる。





「そんな悪いせんせーには生徒からのお仕置きです。」




あ、死ぬ、なんてことを直感する。



「ばーん。」



その声に反射して目を(つむ)った。





静寂。まるで静止画のようだ。






聞こえるはずの銃声は聞こえない。





私を貫いているはずの弾はどこにもなかった。

と思った束の間、弾なんかより生温いものが顔全体を覆う。






私は鳩が豆鉄砲を食らったのような顔をしているのだろう。




「は?」





思わず口からやっと飛びだしたたった一つの言葉。

今の出来事が理解できずにいる。私には理解できないのだ。


なにか心の底から少しずつ沸きあがる
羞恥(しゅうち)憤怒(ふんぬ)




青かった顔は徐々に赤みを帯びる。





顔が濡れている。





この量は涙でではない。




銃口から出てきたのは弾ではなく、





__





_____水だった。



「せんせーびっくりしたぁ?」


「…ふ、ふっざけんなぁ!!!!」

限度ってもんがあるだろ。

だから、アッパーをしてしまいました。つい。


「夕食置いといたから、食べてくださいねっ!」

と吐き捨て、部屋を出てこうとしたが、




手を引っ張られ、抱きしめられる。

振り払おうとしたが、力が強くされるがままになってしまった。



「…ごめんね。泣かせるつもりはなかったんだよー。いつもずぅーとせんせーこの城にいるから退屈過ぎて死んじゃうと思って。」


私はアンタのドッキリで死ぬかと思いました。


キャサリンといい、ラドといい、ドッキリさせるのが好きなのか?
という嫌味を込めた怒りと
こんなに引っかかる自分に恥ずかしさを抱いたのだ。

水鉄砲に本気でびびってる自分って考えると本当に恥ずかしい。
まぁ、でも心配してくれてるのは分かった。結構なありがた迷惑だったけど。


って、泣くな泣くな。おいぃ。

「ぁぁあ、 …もぅ。ラド…ありがとうね。」

ラドはぐちゃぐちゃに濡れた顔を拭いて、ニッコリと笑った。
いつもの顔になった。やっぱり可愛らしい。


「あ、そうだ、ラド、お願いがあるだけど。」


話を替えようとラドに話しかけたが、
内心ではまだ恐怖やら羞恥やら怒りで混沌としていた。

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設定タグ:異世界転移 , 恋愛 , オリジナル   
作品ジャンル:ファンタジー, オリジナル作品
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作者名:Chiroru | 作成日時:2019年1月3日 15時

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