変わらぬ愛の先にあるもの

妹さんを僕に下さい！４ ページ19

悲痛



その言葉はまさに今の総悟を体現しているかのよう。



その様子に、私も下を向いてしまう。



家族が大好きな総悟の気持ちが、ダイレクトに伝わってきたようで・・・



ただ、それで折れるのは、総悟の為にも許されないこと。それに負けないよう、キッと顔を上げて、もう一度総悟と向き合う。



『幸せってなに』



「はっ？」



『十四郎さんが姉さんの幸せを奪ったって言ってたけど、姉さんはじゃあ幸せじゃ無かったの？』



これだけは、聞き捨てならなかった。本来の趣旨とは少しずれていってしまうかもしれないけど、総悟は吹っ切れたようでまだ心に傷を抱えてる。



それなら、それを暴いて癒すのは片割れの役目だ。



「姉上は、野郎を好きになったせいで、普通の恋も出来なかったんだぞ！病弱で、いつも俺らの面倒を見てて、何一つ普通の生活が出来なかったのに、なんで幸せって・・・」



『普通が幸せなの？』



「だってそうだろ！俺らみたいな野蛮な奴等との関わりも無くなって、毎日平穏で幸せな暮らしが出来る！」



『総悟は？普通の町娘と結婚して、こんな命懸けの職なんか辞めて、安定した暮らしがしたい？』



「それは！」



それっきり、言葉が出なくなる総悟。そりゃそうだ。このサディストにして過激派近藤さん親衛隊のこいつが、真選組辞めて平和に暮らしたいなんて思うはずがない。



『姉さんだって一緒。関わりのある人や、自分の体。恋だって、普通の人のようにはいかなかったって、あの人は最後幸せだったと言っていた』



これを見て。と、あの時、銀さんが届けてくれた最後の手紙。それを総悟に見せる。



幸せになりなさい



私のように



その言葉に私は救われた。あんな迷惑をかけた姉さんが最後幸せだったと言ってくれたことに、どれだけ心が軽くなったか。

妹さんを僕に下さい！５→←妹さんを僕に下さい！３

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す