変わらぬ愛の先にあるもの

妹さんを僕に下さい！ ページ16

カポン



真選組の庭にある鹿威しがのどかな音をたてた。が、今そんなのに風流を感じる空気はミリもない。



ここは、近藤さんに許可を得て貸しきった客間。




普段幹部陣がダラダラとしてる姿が良く見られるここだが、今は私と総悟、そして十四郎さんが向かい合うように居住いを正している。



三人の交差する目線は、バチバチと火花がなりそうなくらい緊迫していた。



と言うのも、遡ること三日前・・・









．









．









「A、総悟に俺らのこと言おう」



切り出したのは十四郎さんの方だった。しかし、私も同じ気持ちだったので、躊躇わず首を縦に振る。



総悟は最近私の噂のせいか荒れており、そろそろ見境が無くなってきそうになっている。このまま行くと局中法度も犯しかねないので、早いうちに何とかしないととは思っていた。



しかし、この状況を改善するためには、総悟にありのままを全部話す。もしくは、・・・私達が別れるしかない。



四年以上続けた片想い。手放したくないという邪な思いが働いて、別れを切り出されるのではないかという恐怖から中々十四郎さんに言えなかったが・・・



「俺はお前と爺婆になるまで生きると約束した。それを撤回するつもりは更々ねぇ」



そう十四郎さんが断言してくれたお陰で、私も自信を持って総悟と向き合おうと思えた。



「だが、了承を得られても得られなくても、お前らの兄妹関係は前と変わっちまうかもしれねぇ。それでもいいか？」



私達の心配までしてくれる十四郎さんに、私は笑顔で言い切る。



『結局どこかで言わなければならないことです。今言っても後で言っても同じなら、早めに言ってしまった方が楽でしょう？』



「・・・お前それ、拷問の時犯人に言う台詞じゃ」



『それに』



一呼吸おいて、彼を安心させるような微笑みを浮かべる。



『信じてるんで、総悟のこと。絶対分かってくれるって』



私の言葉を聞いて、十四郎さんもふっと笑ってから、「唯一の片割れだもんな」と肯定してくれた。



そこからは早い。



まず十四郎さんが近藤さんに全て話し、総悟と話せる環境を整えて貰った。私が大切な話がある。と言って、総悟のサボりを止め、部屋に呼び出す。



そして今日。準備が整った。



・・・襖から覗く近藤さんらの顔が気になるが。十四郎さんも何も言わないから良しとしよう。



いざ



私は息を深く吸い、総悟を見つめた。

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