ちいさな恋のお話

◇　吉川尚輝 ページ7

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「ねえ、なおくん」


「...まだ仕事中」


「あ、えっと、吉川くん」


「なんですか」


「...今日家来ませんか」







吉川くん、なんて呼んでおいて
家に来ませんかって
誰かが聞いたらおかしな話だけど。








球団で栄養士をしている私は
2つ下の吉川く...なおくんと
お付き合いをしている。









「ん、行く」


「じゃあ私スーパー寄って
帰るから先に帰ってて」


「了解」






ケータリングを
並べながらそう話していると







65「Aさん練習終わったでーーー」


「はるくん、お疲れ様」


65「...あれ珍しいツーショット」


0「...ほら終わったなら
お前も手伝えって」


65「ははーん
俺をダミーにする気やな」


0「...3人の方が早いだろ」


65「素直やないなあ(笑)」








はるくんは私たちが
付き合ってるのを知っている唯一の人。








82「辻お前まだペナルティ残ってんだろ！」


65「げ、やべ忘れてた」


「はは、頑張れ〜」






行ってきますと、はるくんは
再びグランドへ逆戻り。









「吉川くん緊張してる？」


「...すげえしてます」


「スタメン、だね。おめでとう」


「...まだまだゴールじゃないっすけど」


「それでもここまで
頑張ったのは確かだよ」


「...」


「...私の栄養満点ご飯のおかげかな」


「...だな」


「やめてよ冗談だから」


「はは、なんだそれ」









そう笑ったなおくんは
私の頭をわしゃわしゃと撫でた。









「ちょ、髪ぐちゃぐちゃ」


「可愛い可愛い(笑)」


「...もう、」









仕返しだ、と私もなおくんの頭を
わしゃわしゃと撫でる。









「Aさん、」


「んー？」


「ありがとう」


「...」


「いつも支えてくれて」


「そんなこと、」


「俺、頑張るから
だからちゃんと見ててほし...」









なおくんが全てを言い終わる前に
思わず抱き着いた。









「っ、ちょっと、Aさん、」


「ごめん、ちょっとだけ」


「...ずるいな」


「へへ、ごめん」









82「吉川ー次お前ー」









そんな井端さんの声にはっとして
思わずふたりで噴き出した。









「...よし、行っといで！」


「ん、行ってきます」








そういってグラウンドに向かう
０と書かれた、逞しくなった背中に
頑張れと小さく手を振った。









.









65(見てたからな)
0(...可愛いだろAさん)
65(お前...わざとか！)
0(〜♪)





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