ちいさな恋のお話

◇　宮國椋丞 ページ16

-レイラ様リクエスト-









去年、私の転勤が決まり
関西に移動になって１年。






...つまり
ひとつ年下の椋丞と遠距離になって１年。








東京にいた時の
仕事終わりに応援に行って、その後ご飯に行って
なんてしていたのが
当たり前じゃないんだなと思わされる毎日で。







「会いたいな、」





部屋に飾ってある
ふたりで撮った写真を見て思わずそう呟いた。







.







「...誰に？」






...椋丞の幻聴まで聞こえるように
なっちゃったら終わりだな、私。





「Aちゃん？聞いてる？」


「...え、」


「はは、びっくりしてる」


「...ほ、本物？」


「偽物だったら？(笑)」


「...な、んで」


「ん？なにが？」


「なんでいるの、」


「今日こっちで試合だって連絡したけど
返事なかったし、きっとAちゃん
携帯見てないだろうなと思って
前教えてくれた住所見て来ちゃった(笑)」


「...っ」


「泣いてる？」


「...泣い、てないっ」


「はは、泣いてるじゃん、ほらおいで」






そう言って両手を広げる
椋丞の胸に、迷わず飛び込んだ。







「どっちが年上なんだか(笑)」


「...うるさい、っ生意気」


「あー、久しぶりこの感じ」


「...ごめんね、連絡返せなくて」


「そんなのお互い様でしょ」


「...ごめんね、頼りない年上で」


「可愛いから許す」


「ごめんっ...ん、」







何から言えばいいのか
気付けば出てくるの言葉はごめんねばかりで。






それを遮るように私の口を塞いだ椋丞。






「謝られたくて来たんじゃないから」


「...うん、ありがとう」


「うん、よし(笑)」


「なんかちょっと見ない間に
逞しくなったね、椋丞」


「Aちゃんは
ちょっと見ない間に泣き虫になった」


「...そこは綺麗になったね
とか言う所でしょ！」


「えー、そうなの？」


「そうなの！」


「はは、ごめん」





そう言って笑った椋丞は
本当に逞しくかっこよくなっていて。







「椋丞、ありがとう」






こうやって会いに来てくれて
たくさんの言葉をくれて
泣き虫だなあって笑ってくれて

会えない時間も
私の事を好きでいてくれて。









たくさんの意味があるけれど。




「ん？なにが？」


「んー色々」


「なんだそれ(笑)」








いつかは同じ家に帰って
同じご飯を食べる日がくるのかな
なんて思ったりして。









.






(あ、お誕生日おめでとう！)
(...いつの話ですか)




.

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