魔法使いの恋 2 (ページ27)

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your-side

けんじろ君が繋いでくれる手。

いつも、大きくてあったかい。

けれど、今日は特別すぎて、何だか涙が出てしまいそうになる。

お日さまが頭の真上にいる、明るい時間のデートなんて、何年ぶりだろう。

トオル君のお父さんと会う日は、いつも暗い夜だった。

けんじろ君は、わたしの職業柄、男の人とふたりで街を歩く姿を子供たちに見せるのはどうかと言って、会うのは決まって部屋の中。

もちろん、けんじろ君に会えるだけでわたしは幸せだから、満足している。

けれど、やっぱり不安に思う気持ちは少しあって。

幾度も唇を重ねて、身体を重ね合わせても、けんじろ君の方から好きだと言ってもらったことは、無い。

『けんじろ君と一緒に居られたら、

それで良い……』

そう言ったのは、わたしだ。

人間は欲深い。

もっと…もっと……

けんじろ君を欲しがる自分に、変わらないけんじろ君に、心が締め付けられる、そんな瞬間がある。

だから今日は、素直に心から嬉しい。

わたしの誕生日に、けんじろ君が一緒に出かけてくれた。

誕生日のランチも、プレゼント選びも、本当は苦手なんだと思う。

お店もプレゼントの候補も、自分で決めてほしいと言われたけれど、それでも一緒に出かけてくれることがすごく嬉しい。

人混みの中、手まで繋いでくれている。